「全体的に好きな感じだけど…なんか惜しい。時折「羊たちの沈黙」の影がちらつく感じです。」ファーストラヴ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
全体的に好きな感じだけど…なんか惜しい。時折「羊たちの沈黙」の影がちらつく感じです。
予告編を観た時から気になっていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと、結構好きかも。でもなんか惜しい。
もっとエログロかと思いきやサスペンスホラーな感じで家族との様々な関係の歪みを描いているが、何処か「羊たちの沈黙」を模範した様なベースと展開に好みが分かれそう。
父親殺害と殺害動機不明のサイコパスとして世間を騒がせた女子大生、聖山環菜の事件を取材する真壁由紀は義弟でもある聖山の国選弁護人、庵野迦葉と真相を究明していく。だが接見をしていく度に環菜はサイコパスの事件を起こす様な人物に思えず、また
環菜の母から話を聞くが、つじつまの合わない部分が多々有る事を疑問に思い、「環菜は本当のことを話していない」との結論に達する。
また環菜や知人らから家庭環境について話を聞くうちに、環菜が過去に心に問題を抱えるに至った経緯を突き止め、その過程で、由紀もまた自身の生い立ちや、迦葉との関係について向き合っていくようになる…
北川景子さん、中村倫也さん、芳根京子さん、板尾創路さん、石田法嗣さん、清原翔さん、高岡早紀さん、木村佳乃さん、窪塚洋介さんと豪華なキャストで見応えは十分。
主人公で臨床心理士の真壁由紀役の北川景子さんが比重が大きい作品ですが、個人的には北川景子さんの演技ってそつが無い感じが凄くして、悩み戸惑いながら解決していくと言うのにはちょっと違和感があるんですよね。
もしくは綾野剛さんと出演した「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」の高千穂の様な役ならハマるんですが、今回の真壁の様に自身の過去を曝け出していくと言うのにはなんか綺麗すぎると言うか…
この辺りはどうしても「羊たちの沈黙」の様なサイコサスペンスな影がチラつきながらも本作はサイコの部分が薄かったりするのと、ハンニバル・レクター博士の様な強烈なキャラがいない事でその役割の影の部分が薄いのでそう映るのかな?と。
全体的には好きな感じですが、もっとエログロとは言いませんが破廉恥かつサイコな部分があった方が良かったかな。どうしてもデリケートな部分を丁寧に触れる様な作りには好みが分かれるかな。
それでも加害者でもある庵野環菜役の芳根京子さんはいい感じなんですが、もう少し幼い感じの方が良いかな。そう考えると全体的に作品の完成度を高くしようとして年齢的な部分でもちょっと高めなのが惜しい感じ。
後半の真相を究明されていく中でそれぞれが抱える悩みや過去の体験がキーポイントになっていますが、やっぱりこの手の作品は「羊たちの沈黙」を連想してしまうんですよね。
かと言ってそれに倣った様に描写がエグくなるとどうしてもそっち寄りになってしまうと言うのも分かるんですが、中途半端が一番ダメ。
この作品が中途半端とは言う訳ではやっぱり惜しい感じはします。
でも見応えは十分あるので抑える作品の一つかとは思います。
ご興味がありましたら如何でしょうか?