「主人公が羨ましく、憎らしい。心が辛くなる作品。」ファーストラヴ もちさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公が羨ましく、憎らしい。心が辛くなる作品。
北川景子、中村倫也、窪塚洋介等と好きな俳優が多く出ていて、サスペンスも好きなので、コロナ禍の息抜きに久しぶりに映画館に足を運びました。
結果、見たことを後悔しました。
北川景子演じる公認心理師?が自身の本の取材のため、芳根京子演じる父親殺しの被疑者と接見を重ねる中で、自身のトラウマとも向き合っていきます。
主人公が心理学を仕事にしているにも関わらず、作中で言われてるように「自身のトラウマを被疑者に投影して彼女を助けることで自分も救われようと」し、元カレである中村倫也には初めてのセックスが上手くいかなかった気まずさでつい「俺は2桁経験があるのに…」と口走ってしまったことに対する腹いせのように、母親に捨てられた彼に対し、愛情が足りないからセックス依存症になったんだ、と心の深い傷を攻撃し、その彼にとって唯一心を許せる存在であった義理の兄と結婚し、夫である彼にはそのことを一切話さず、仕事に熱中して夫に家事も任せてデートの約束も理由も言わずドタキャンする。主人公のトラウマも、父に何かされた訳ではなく、ただ海外の女の子を買っていた父親が気持ち悪かった、というもの。大人になった主人公ならそんな父親を許さざるを得なかった母親の苦しみも分かるはず。
被疑者は主人公に「ちゃんと罪悪感をもてるようにしてください、」というが、主人公が周りに対し、罪悪感も感謝も持てないままで何も解決しない。
裁判も、急に弁護士が新たな証拠を見つけてきただけで、主人公は証人になりそうな人を責めるだけ。
それでも「綺麗で雰囲気がある」主人公を中村倫也、窪塚洋介兄弟が支え、受け入れることで前向きになっていく。
もっと公認心理士として活躍する主人公か、弁護士として証拠を集める過程が見たかった。
自分勝手で周りに対する感謝のない主人公にモヤモヤし、心を扱う仕事にも関わらず思いやりの無さにガッカリした話でした。
窪塚洋介さんは今でも甘さのある話し方と独特の雰囲気で、包容力のある夫役が素敵でした。