「問題提起と俳優の熱演は見ごたえあり」ファーストラヴ ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
問題提起と俳優の熱演は見ごたえあり
性的虐待について考えるには非常に良い映画です。実際に体に危害が加えられなかったとしても、性的な目で見られたり、からかいの言葉をかけられることがどれだけ心を傷つけるのかを改めて考えて欲しい。
それと、親が子供を、夫が妻を、自分の所有物のように扱っています。
父親2人は吐き気がするほど気持ち悪いです。でも母親たちも、夫に尊厳を傷つけられ、本来守るべき娘を守ることを放棄し、あるいは娘にも自分の苦しみを負担させようとしました。
環菜の母役の木村佳乃さんの演技がとても良く、もっと観たいと思いました。また、由紀の母親も明らかに悪意があり、高岡早紀さんが車の中でほくそ笑む表情が怖かったです。私には子供が居ないからわかりませんが、娘は自分の分身、という気持ちと、夫の血を引いている、という気持ちがあったんでしょうか。
芳根京子さんの演技は素晴らしいです。「累」も良かったですし。北川景子さんは美しい、人を惹きつけます。ただ、回想シーンは良かったんですが、公認心理師としてはもっと抑制した方が良いと思いました。過呼吸とか情熱とかは凄いですが、情緒不安定過ぎです。弁護士か、被害女性を支援するNPOの人だったら良いのにと思います。中村倫也さんと窪塚洋介さんは流石です。
見ごたえはあったんですが、惜しかったところも。
・環菜がユウジ君に惹かれていく過程や母親との関係よりも、由紀の昔の恋の方がかなり目立ってました。
・デッサン会。いくら何でも。モデル代が高いのに裸の男2人ってありますか?構図的にも。美大生のモラルが低すぎだし、女子には教えないなんてアリですか?
・裁判員裁判では無かったですよね。素人の私は刑が重いと感じました。
アナウンサーというのは、たぶん、有名人である父親の娘、ということで話題になるだろう、そして、父親にとって公になっては困る過去を含めた自分の存在が隠し通せなくなることで、父親への当て付け的な復讐になるから。一方で認めてくれるかもしれない、というあまりに痛切でこちらの胸が締め付けられるような父親への微かな期待。
ということなのだと、私は解釈しました。あまり自信はありませんけど😅
確かに、「将来、自分がもし裁判員制度で選ばれたらどう判断するのだろう?」という視点を知らず知らずのうちに感じさせられました。
包丁を買ったことで〝未必の故意〟つまり、明確に殺すつもりはなくても死ぬかもしれないことは分かったうえでの行動、と看做されてました。だから、過失致死ではない、と。でも、実際に自傷していたのだから、包丁は🔪自分を傷付けるためだった、あの刑は重過ぎる。控訴すべきではないか、と私も思います。
本人が辞退したのかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
女性からみた男性の視線は、自分が思っている以上に怖いですよね。気をつけないと。
昔、「栃木実父殺し事件」を大学の講義で聞いて、とんでもない父親がいると知ってショックを受けました。違憲判決から半世紀近くなろうとしているのに、名古屋地裁での信じられない判決(フラワーデモの契機となった)を下してしまう裁判官(男性)がまだ存在するわけだから、自分も含めて日本の男性は、内省して意識改革をする必要がありますね。
NOBU様、ありがとうございます。女性(最近では男性も、ありますが)が子供の頃から受け続ける苦悩のテーマからは外れるかもしれませんが、親子の問題として考えると、由紀がもし男の子だったとしても、やっぱり苦しむことになるでしょうね。父親への軽蔑、同じ男性としての嫌悪感とか。母親は、息子を自分の理想の男性像に近づけようと束縛してくるでしょうし。
今晩は。
観ていて、キツイ映画ではありましたが、イロイロと考えさせられる映画でしたね。
私も、裁判官が環奈に課した量刑は重いと感じました。
彼女の心神耗弱状態及び、両親の彼女への虐待行為を考慮すれば、懲役3年、執行猶予付き。但し、社会への直接復帰ではなく、更生施設入所が、妥当かなあ・・、と思ったので。
では、又。
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