サイレント・トーキョーのレビュー・感想・評価
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渋谷スクランブル交差点の再現度 これに尽きる
佐藤浩市、西島秀俊、石田ゆり子………、キャストの並びを見ただけで安定感たっぷり。ただ、それ以上に今作を語るうえでは「渋谷スクランブル交差点の再現度」、これに尽きるのではないだろうか。栃木・足利に作った巨大オープンセットに、その本気度がうかがえる。作ろうといって簡単に作れるものではない。製作サイドの情熱だけでも無理な話で、莫大な費用とそれを支える手間があってこそ。この再現度の高さ、隅々までを大きなスクリーンで見て頂きたい。
ネタバレ厳禁のため、例えるなら「SP」、いや日本版「コンテイジョン」のような作品?
本作は岡田准一×堤真一の大ヒット作「SP」シリーズの波多野貴文監督がメガホンをとったので、「あの名作の再来か」と期待していました。ただ、起こり得る危機への警告、という意味では同じでしたが、「99分ノンストップムービー」といった趣向が強く、「SP」とは作風等が大分違っていました。
今年、新型コロナウイルス騒動が起こってから、2011年に公開された「コンテイジョン」というハリウッド映画が世界的に注目を集め、「まさに映画と同じだ!」とDVD等が飛ぶように売れていました。
そんな状況を目の当たりにして、もし「コンテイジョン」が今年の2月くらいに公開されていたら凄いことになっただろう、と思っていました。
人は、それぞれ毎日の生活が忙しく、基本的には「安全神話」の中で生きています。
そんな中「SP」シリーズ等のように、起こり得る危機へのシミュレーションをしているのが本作だと思います。
渋谷駅のスクランブル交差点を忠実に再現したセット等に1日最大1200人規模のエキストラが集まったそうですが、これは昨年の11月下旬から12月上旬という、ある意味でラッキーな時期に撮影された結果で、このような作品はしばらく見られないのかもしれません。
「佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊らの豪華キャスト陣」という紹介が多いですが、彼らはもちろんのこと、私は中村倫也の演技がなかなか良かったと思います。
さて、本作の脚本の構成は、もう少し深みとリアリティがあれば良かったかな、と思いましたが、これは2011年に「コンテイジョン」を見た時も思ったので、私自身が「安全神話」にいるのかもしれないですね。
響く人には響く作品だと思います。
「消費」をただの消費で終わらせないために
「サイレント・トーキョー」は短い。原作にあった細かな背景(未読なので詳細はわからないけど)を描写する時間をバッサリ切って、石田ゆり子や佐藤浩市のシーンもバッサリ削って、とにかく12月24日の事件だけを狂乱と共に観せる「クリスマス狂想曲」の映画だ。
戦争批判や体制批判、原作が持っていた登場人物の背景や人生の悲哀を排して、最後に残ったこの映画のテーマは「消費社会の虚無」だ。
映像的にもストーリーの山場としても、この映画の主題は「渋谷ハチ公前の爆破事件」だろう。
12月24日18時、渋谷駅ハチ公口。時間と場所が指定され、渋谷駅はお祭り騒ぎだ。それは正にイベント。
怖いもの見たさなのか、歴史の目撃者になりたいのか、日本史に残る事件を共有したいのか、わざわざ渋谷駅に集まる人々の様子は、非日常を味わうための「時間の消費」に他ならない。
その代償として起こる悲劇の映像は圧巻。デジタル撮影の長所を活かして、パノラマで魅せるスローモーションは素晴らしい出来だった。
あと、派手で大音量のシーンと沈黙のシーンの音のコントラストも良い。
耳鳴りの音も「あれ、私の鼓膜かな?」と思うくらい良い出来だったしね。
仮に、渋谷駅で何も起こらなかったとしても、この「一生に一度あるかないかのイベント」に参加することに意義がある、と思う人がいるのは不思議じゃない。
そして、その「消費行動」は一週間後に「初詣」にとってかわられることも。
荒れる成人式を小バカにしたり、恵方巻を食べたり、花見に繰り出しているうちに、渋谷駅のことなんて忘れてしまう。私たちは、高速で出来事を消費する様式に慣れ過ぎている。
この「高速消費」の娯楽性を最も再現できるのが、99分の短尺なのだ。あっという間に終わってしまう映画。
まあまあ面白かった、なんて思ってる間に、ご飯のメニューや明日の仕事が迫ってきて、そして「サイレント・トーキョー」の輪郭がぼやけていく。
まるで自分が「サイレント・トーキョー」の登場人物かのような、ちょっと倒錯した話だ。
ぶっちゃけ、何を言ってるかわからないと思う。私のこの感覚は、とても曖昧で表現しがたいが、「まあまあ面白い」映画であるがゆえに「まあまあ面白い」で済まし難い、アンビバレンツな映画、とまとめておこうか。
キリストがこの世に降誕したことを祝うクリスマスが、年々商業イベントの様相を加速していることに、先代教皇ベネディクト16世も憂慮されていたらしい。
そういう意味で、映画「サイレント・トーキョー」は最も正統なクリスマス映画と言っていいのかもしれない。
過度に商業的で、あらゆる感情や悲劇や喜びを消費財と見なす社会の流れを深く自省し、消費以外の喜びを見出だすべきだ、的なね。
映画の中では、12月24日の出来事を「過ぎ去ったもの」にせず、自分の本当に望むものへの糧とした人物もいた。
悲惨なことも、ささやかな出来事も、明日へのチャンスに変えることが出来る。
チャンスの数だけ、自分の望みを叶えられる機会が増える。
そして、自分が本当に望まない限り、望みは叶えられないのだ。「War is over」は「If you want it」と常に一対なのである。
ストーリーを読めばそれなりに面白いフィクションだった。が、映画では...
なんか消された?
もう少し詳細が知りたい
期待を裏切る映画
役者のネームバリューだけの映画であった
何が何だかという感じ。
もう少し、深堀しても良さそうなテーマ
この作品が公開された2020年と言えば、コロナ禍に見舞われた初年度という事で、映画館に見に行こうと思っていたんですが、未見でした。
しょっぱなから怪しげな雰囲気を醸す人物が複数登場して、「え?この人が犯人?」と思ったりするわけですが、結局は、推理小説でも使われる王道の、“最初に出てきて、巻き込まれた感じの人が犯人”というオチになりましたね。
それから2年半経過し、世界は二極化して、ますますきな臭くなり、混とんとしてきてしまっていますね。この作品が描いているものの一つに、日本が世界の紛争に挑む覚悟とか、そういうものがあるのか?という事があると思うんですが、マジでシャレにならない事態が近づいている気がします。何も起きず、平和なのが一番なんだけどな。とはいえ、世界の一員という観点では、色々考える必要があると思いました。
日本人の危機意識の甘さへの強烈な問題提起サスペンス
本作は、東京で発生した連続爆破事件を巡るサスペンスである。冒頭からスピード感ある展開でテンポ良く物語は進んでいく。本作の特徴は、犯人に迫っていくサスペンス要素ばかりではなく、日本人の危機意識の甘さ、弱さを問題提起している点にある。通常のサスペンスとは異質な視点を持っている作品である。
クリスマスイブにTV局に恵比寿での爆破予告電話が掛かってくる。半信半疑で現地に向かったTV中継クルー来栖康太(井之脇海)と偶然現場に居合わせた主婦・山口アイコ(石田ゆり子)は犯人に脅され手先になってしまう。犯人の次のターゲットである渋谷での爆破予告時間が迫る中、警視庁の刑事・瀬田(西島秀俊)と泉(勝地涼)は懸命に犯人を追っていくが・・・・。
サスペンスとしては、犯人の姿が見えぬまま、次々と事件が発生するという王道の展開にハラハラドキドキさせられる。西島秀俊が一匹狼の刑事役を好演している。爆破シーンも迫力がある。肝心の犯人の動機が弱く、ラストもあっけなく淡白になった感はあるが、及第点だろう。
何と言っても本作のハイライトは、渋谷での爆破シーンである。爆破予告を軽視し、爆破予告場所に集まる群衆。平和国家・日本で絶対に爆破なんて起きないという慢心が満ち溢れるなか、予告は現実になる。慢心は恐怖に一変する。爆破シーンの描写がリアルであり、爆破テロの現実に心が凍り付いた。
世界中で爆破テロが起きている状況でも、日本だけは大丈夫という妄信。サスペンスではあるが、ここは、日本人の危機意識の甘さ、弱さ、への強烈な問題提起になっている。
ラストの、まだ・・・という文字はコロナウイルス感染拡大を示唆していると感じた。感染拡大という爆弾の爆発を阻止する為には、日本人一人一人が強い危機意識を持って、コロナウイルスと戦っていくしかない。自分の身は自分で守るしかない。
本作はサスペンスだが、日本人の危機意識の甘さを痛感する作品である。
とてもメッセージ性のある衝撃的な映画です。
とてもメッセージ性がある映画です。
*本作品は、かなり衝撃的な描写が含まれているのでご注意を。
世界において、日本は、とても平和な国だと思います。
そんな平和な世の中、もしかしたら、平和過ぎて感覚が緩んでるかもしれないところへ、
突然のテロ予告が・・・
本作品は、様々な社会に対するメッセージが込められている、
とても考えさせられる映画だと思います。
「どれだけ真剣に生きているのか?」
「自分という存在は、どのように社会に貢献しているのか?」
どこか夢見心地な状態から、リアルと向き合うきっかけとなる映画でした。
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