「爆弾はまだあります。あなたのすぐそばに。」サイレント・トーキョー 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
爆弾はまだあります。あなたのすぐそばに。
予告に振り回される警察と政府、面白がる民衆、、、。ちょっと近年のハロウィンの風景にも共通するお気楽なお祭り騒ぎ。ロケ地のセット、エキストラ、、、、もろもろ壮大なもの。だけど、それだけの労力に見合ったシナリオじゃないのが惜しい。犯人?その矛先はとばっちりでしょ?、警察?この大事件に単独行動はないでしょ?しかも参考人と?、、、。観ていて、腑に落ちないところが散見されて、「、、、、」、つまり「うーん、だけどなあ、」の感想ばかりが頭をかけ巡る。そうそう、そもそもこのヤマグチアイコって何者なんだ?なんで「悪くない」って言い切るんだ?の疑問が後から湧いてきて、その答えは後半にやってくる。だいたい、それ自体がおかしいんだよね。
実際、いまもし戦争になって空襲なんてうけたら、このくらいの惨劇はいたるところで起こるだろう。いや、太平洋戦争のときに受けた大都市空襲は、当時は当時なりにこの映画の爆撃に匹敵する惨状だったはず。だから、「いいか勘違いするなよ、これは戦争だ」の言葉は適当であるとも言える。平和ボケしてる日本人に警告するのも悪いことではないだろう。だけど、その手段としてそれを行うのはどうなのか。やはり気でも狂ってるとしか言いようがない。そのくせ、結局最後は犯人は悪者になり切れてない(配役佐藤浩市の時点で想像可であったが)むしろ茶番に思えた。
で、東京タワーの意味は?何も知らずに何も起こらずに国民はこの先も能天気に生きていく、と言いたいのかな?
孤高の正義漢には残念なことだが、社会というものは"愚かな群衆"で成り立っているものなのだよ。でも僕はそれを悪だとは思っていないけど。だってしょうがないじゃない、それが人間だもの。
ああ、ジョンの命日に観たのに。ちょっと残念。