「犯人があの人だったとは?」サイレント・トーキョー 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
犯人があの人だったとは?
正義のためと、犯人の夫が言います。しかし、この世はある事柄が起きるが、後で人間が意義づけをするという意味では、善も悪もないのかもしれません。そういう意味では、渋谷の忠犬ハチ公を爆破するという復讐心は意義づけが弱かったような気がしますが、ストーリー展開は秀逸です。誰が犯人か最後まで行かないと分かりません。その謎解きにハラハラしてしまいますが、その巧みさには脱帽です。途中で、復讐の原因となるエピソードのために、遡った時代が演じられますが、違うキャストが登場するので、これは誰と思うことがありました。もちろん演ずる役者は個性的な人ばかりで、見応えはあります。この映画の背景としては、戦争の無意味さに迫っていますが、これについては結論は出ません。私たちの歴史を見ても、ついこの間まで、自分が生き延びるために戦争をしていたのですから。ただ、平和な未来を引き寄せるのは、私たちの時代で成さねばならないことなのでしょう。いずれにしても、この映画の魅力は、息をつく暇もなくエンデイングに到達することと、渋谷交差点を再現するために、時間とお金を惜しまなかったことです。
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