劇場公開日 2020年12月4日

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「コロナ禍の今だからこそ考えるべき"平和ボケ"気質な日本、スリリングなサスペンスは一見の価値あり」サイレント・トーキョー かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5コロナ禍の今だからこそ考えるべき"平和ボケ"気質な日本、スリリングなサスペンスは一見の価値あり

2020年12月4日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

平和ボケをしてしまう、今の日本が透けて見えた気がして胸が痛い。思想や理念が多角的に映し出されたとき、あまりにも美しくて眩しいトーキョーが見えてくる。
最初の印象は、「主人公は誰!?」ということ。佐藤浩市や石田ゆり子、西島秀俊を主軸にしているので、モヤモヤしながら席に座った。しかし、これはこれで意味を成しているので問題は無用。共通した「信念」が交錯するトーキョーで、リアルタイムかつスリリングな展開が続く。渋谷に集まるアホな輩に、動かない総理。為す術がないまま焦燥する警察…どこを取ってもリアルでハラハラ。事態が動き、繋がり出した伏線は、サスペンスから人間ドラマへと形を変えてゆく。そこに潜む信念の理由と事件の闇。そうして浮かび上がるのは、日本の"平和"という名の危機。とても他人事とは思えない内容と、衝撃の事実。何より、スパッと全体が終わるので、観やすくてクセがない。爆破や混乱、出血はリアルなので一応頭にいれておいた方がよさそうだ。
ストーリーの真相の根底は、フィクションではない思想である。だからこそ今一度考えるべきなのかもしれない。平和ボケしている私たちの意識と、戦争から程遠いと思っていることの迂闊さを。テロの脅威から見える本格的なドラマと、手に汗握るスリリングなサスペンス。コロナ流行の今だからこそ、良く考えて見るべき1本だ。

たいよーさん。