劇場公開日 2020年6月5日

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「魂の歌声〜自由を求めて〜」ハリエット 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0魂の歌声〜自由を求めて〜

2022年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

黒人女性・初《20ドル紙幣の肖像になる》ハリエット
・タブマンの生涯を描いた感動作です。

ハリエット・タブマン(1821年~1913年)の実話です。
この映画は1849年に始まります。
ハリエットはまだミンティと呼ばれメリーランド州のフローラス家の奴隷でとして、
過酷な生活を強いられていた。
自由黒人の夫ジョンがありながら、同居も子供を作る夢も遠かった。
フローダスの大旦那さまが亡くなると息子のギデオン(ジョー・アルウィン)は、
ミンティを売りに出す。
(当時の黒人は500ドルか?600ドルで人身売買されていたのです)
ミンティは売られることを恐れて、北部フィラデルフィア目指して逃亡するのです。
馬も馬車もない。
徒歩です。
食事も摂らない。
途中、追っ手のギデオンが橋で行く手を塞ぎます。
ミンティは高所からためらいもなく川に飛び込みます。
《自由か死か》
もちろん自由を選びます。
勇敢な肝の座った女性です。
600キロを走り抜いて黒人地下活動家のウィリアムの元ににたどりつきます。

父親と夫は自由黒人。
母親、兄弟姉妹そしてハリエット(ミンティから改名・・・その名は自由の象徴です)
は、奴隷なのです。

ここで同じ黒人なのに身分の高い「自由黒人」と「奴隷」
どこが違うのでしょう?
ごく簡単にいえば、
「多くの黒人は17世紀からイギリスによるアメリカの植民地時代から
奴隷として連れてこられたが、
一部は奴隷ではなく、
仕事のためにアメリカに来た黒人、
主人から解放されたり、仕事を辞めた黒人、そして白人やネイティブ・アメリカンとの間に生まれた子供や逃亡奴隷などは自由黒人と呼ばれる」Wikipedia

こう聞いてもピンと来ませんね。
映画「それでも夜は明ける」ではニューヨークで普通の市民として暮らしていた
ヴァイオリニストのソロモンが、突然何者かに誘拐されて、南部の農園に売り飛ばされて
体験する想像を絶する奴隷生活の行方・・を描いた映画です。
これも実話なんですね。
だから私の中では、北部の都会では自由黒人、
南部の綿花農園では黒人は「奴隷」
そう勝手に解釈していました。

名前をウィリアムから付けて貰いハリエット・アブマンに生まれ変わったミンティは、
黒人解放運動の地下組織「地下鉄道」の車掌として、
自分の家族を手始めに多くの奴隷をフィラデルフィアまで、
先導して逃しました。
メリーランドとフィラデルフィアを何10回も往復。
モーゼと呼ばれて《賞金首》にも。
彼女には霊感が宿っています。
どうも、鉄を頭に当てられた頭蓋骨骨折して、その後遺症で、昏睡するのも一因かも?
本当に勇敢で不屈の闘志でした。
その後の南北戦争(1861年から1865年)でも黒人兵士を率いるリーダー役を果たします。

こう書いていくと、シチ難しい映画と、敬遠されそうですね。
事実、私も観るまでは気が重かったんですよ。
ぜんぜんそんな心配は入りません。
平易ですらすら観れる映画です。
イギリス出身のミュージカル・スターのシンシア・エリヴィのソウルフルな歌声が、
本当に素敵です。
場面、場面を明るく照らします。
この映画はシンシア・エルヴォがアカデミー主演女優賞、そしてシンシアが歌う
「スタンド・アップ」がアカデミー賞主題歌賞にノミネートされました。

差別主義者のトランプがアメリカ国民から、NOを突きつけられ、
移民や黒人に理解のあるバイデン氏が、大統領選に勝利宣言した今日(2020年11月8日)
この日にレビューを書いているのも奇遇です。
(ハリエット・タブマンの20ドル札が良貨となり、黒人に広く行き渡りますように)

ようやくアメリカ黒人にも良い風が吹いてきそうです。

琥珀糖
りかさんのコメント
2023年9月17日

こちらこそお気遣いいただきましてありがとうございました🙂
本作、元気も勇気も出る作品ですね。主役の方が、タイトル忘れましたが、現在の暮らしから、奴隷時代の農園に誘拐されて働かされる、ちょっと怖い作品にも出てられた方かと思います。違ってたらお許しを。今後ともよろしくお願いいたします🤲

りか
りかさんのコメント
2023年9月17日

たくさん共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
フォローの件、気づいておりませんでしたし、お互い様なような、
他の方にも何回もしていまして。😥
本作感動物でした。自分が自由になったら、命惜しくなるだろうに、何回も何回も助け出しに行く。自分の足頼りで。
お時間とりました。返信結構ですよ。🌸

りか