「奴隷たちの魂の叫びが聞こえる…」ハリエット 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
奴隷たちの魂の叫びが聞こえる…
「自由か死か」何という選択だろう? 奴隷として生き続けるよりは死を選ぶということか? それほどまでに奴隷たちの一生は過酷なのだ。生まれて、まだ働くという意味すらわからないうちから働かせられる。そしてそれは生涯続く。奴隷の子どもはまた奴隷になる。そのループから逃れられない。ミンティはその願いが受け入れられないと知った時、行動に出る。字も読めないのにその強い意志と不屈の精神で、安全な場所まで幾多の苦難を乗り越えて、歩き続けた。だが、彼女はそこに留まらない。命からがら逃げ出した地へもう一度戻ろうとするのだ。そこがハリエットのすごいところだと思う。自分だけでなく、他の人たちの自由にも手を貸そうとしたのだから。ただの奴隷にすぎなかった彼女が南に戻るたびに大きな存在になっていく。その行動力で出エジプトにちなんで、モーゼとまで呼ばれるようになるのだ。奴隷解放の会の人々のキレイごとの発言には耳を貸さず、ひたすら奴隷たちを逃がし続けた姿には本当に頭が下がる。終盤の彼女のセリフ、「いつか私たちの時代が来る」本当に来ている。彼女のあの力強い、魂がこもった歌声を忘れられない。
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