「全体的に暗く重い」ミッドナイトスワン 魔星さんの映画レビュー(感想・評価)
全体的に暗く重い
娯楽映画ではないから気分が沈んでるときに見る作品ではないです。
単純におもしろいつまらないと断ずるのが難しいですね。
わざわざ見に行くほどではないかなと思います。
全体的に出演者の演技レベルが高く、作品の世界観に集中して観覧することができました。
草彅剛演じる 凪沙(本名:武田健二)
トランスジェンダーの男性役ですが、見事ですね。
一挙手一投足、女性を感じさせる所作。
表情等による内面の演技。悪くなかったですね。
ただ泣きながら思いを吐露するシーンがあるのですが、なんか泣きの演技が下手糞に感じ気持ちが離れてしまいましたね。笑っちゃったもん。
服部樹咲演じる 桜田一果
この作品がデビューなんですってね。あんまりしゃべらない役だから演技の良し悪しはわかりませんが、バレエの演技がすごかった。
この方、バレエ経験者でもともと上手なんですが、役柄的にバレエ下手なとこから上達していくんです。
この下手な演技がメチャメチャうまいのよ。そんで後半のバレエは単純にうまいのよ。バレエ真面目に見たことないので基準はわかりませんが、ともかく上手く、なんか綺麗だった。
上記二人を主軸として物語が展開するのですが、ところどころ観覧者の心を攻めてくる展開があります。
一番胸が苦しくなったのは、凪沙の母ですね。
母は凪沙が女性として生きていることを知らず、トランスジェンダーに対しても病気と認識しているんです。そんな凪沙と母は数年ぶりに直接会い現状を知るわけですね。パニックですよね。
母「お願いだから元の健二に戻っておくれよ~。病院に行って直しておくれよ~」
凪沙「母さん、これは病気じゃないの。病気じゃないから直すとかじゃないの。」
一番心に残ったやり取りですね。
私はこの母親役の演技が一番良かったと感じました。
母親の怒り、混乱、悲しみ、現実を受け止められない気持ちが想像に難くないだけに本当に心に来るものがありました。そんな入り混じった思いをよく表現してました。
自身のあたりまえの世界は大変恵まれているのだと再認識しましたね。