劇場公開日 2020年9月25日

「コロナ禍最大の注目作は「リトル・ダンサー」を思い起こさせる」ミッドナイトスワン 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0コロナ禍最大の注目作は「リトル・ダンサー」を思い起こさせる

2020年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

新宿のニューハーフクラブで白鳥のチュチュを着て舞台に立つトランスジェンダーの主人公と、彼を取り巻く仕事仲間たちの人間模様は、どことなく既視感がある。当時はそういう表現はなかったが、トランスジェンダーの描き方や、映画全体のムードが昭和のそれだからなのか。しかし、草彅剛の渾身の役作りがすべてを凌駕して、この物語を今観るに相応しい愛と孤独のドラマとして、それも、スターだからこその吸引力を持ってして、観客を何とも表現し難い魅惑の世界へと誘って行く。声のトーン、抑揚、強弱、体重の移動、中でも、彼が恐らく最も努力したと思しき歩き方、等、役作りへの献身が、一コマ一コマから零れ落ちたくるようだ。コロナ禍の日本で公開された最大の注目作は、同時に、無名の少女がバレリーナとして花開いて行く過程を描いて、不況時代のイギリスで同じくバレリーナとして羽ばたく少年と家族、友人の関係にフォーカスしたスティーヴン・ダルドリーの代表作「リトル・ダンサー」を思い起こさせる。虐げられた人間たちの夢が次世代へと引き継がれる作品のテーマが、両作品には通じるのだ。

清藤秀人
清藤秀人さんのコメント
2020年10月1日

そうですよね!

清藤秀人
ゆのさんのコメント
2020年9月26日

私もリトルダンサー思い出しました。

ゆの