劇場公開日 2020年7月23日

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「リゾート気分をエンジョイ」コンフィデンスマンJP プリンセス編 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5リゾート気分をエンジョイ

2021年1月1日
PCから投稿

映画はざっくり、ブロックバスター型とアートハウス型に二分される。と思う。
この映画を見ながら、ふと、日本映画のブロックバスターな娯楽作って、なんか少ないな──と思ってしまった。

わたしの、個人的感慨なだけ──かもしれないが、近年、日本映画っていうと、こまっしゃくれたアートハウスだらけ、のような気がするのである。

日本映画+アートハウスとなると、俗物のわたしはたいてい吠える(=けなす)ことが多いので、さいきん振り返って、吠えてばっかりだったなあ──と思ったからだ。

ブロックバスターであれば、けなさない──わけではないが、ブロックバスター型であれば、まず映画監督自身の気取り/驕り/箔付け/承認欲求はない。それだけで、けなす要素は激減する──わけである。

まあ、持たざる者が、歯ぎしりをしている、だけのことである。

ただし、とくに映画好きというわけでもない一般人/労働者までをターゲットした娯楽映画が減っている(気がする)のは事実で、映画は「とくに映画好きというわけでもない一般人/労働者」のための娯楽であってほしい。なんてね。

コンフィデンスマンJPは、キャスト・スタッフ結集した、ブロックバスター娯楽作であり、基本的に文句はありません。

が、このシリーズをひとつ見て、ふたつ見て、みっつも見れば、どう展開するか、あるていどわかる。

ゆえに、後出しジャンケンなのは、わかっているので、安心して見ていられる。

しかし、それが安心なのか、退屈なのか、ここまで至ると、自信がなくなってきた。
だけど天才古沢良太が書いている楽しいシリーズで、お金もかかっている。
万事逆転するのが、お約束になっていたとはいえ、リゾート気分をエンジョイしたのは確かです。

ただ、この編でもっとも、心をざわつかせたのは不倫と死だった。
不倫した人、亡くなった人が出演していて、その蝟集に、なんとなく因果のようなものを感じてしまった。

現代ではSNSが普及していて、赤の他人である、有名人にさえ、コメントができる仕組みがある。

だが、そのゆうめいな彼/彼女にたいして、コメントをする前に、胸に手をあててみると、心の声が「おまえに何の関係があるの?」と言っているのが聞こえる。──わたしには聞こえる。(映画レビューをするときは「おまえに何の関係があるの?」が聞こえないんです)

他人様の不倫は、わたしに、なんの関係もない。

加えて、わたしは何人ものインフルエンサーの、有名人の自死から憂国へ論理展開する意見を見聞きした。
けっこう幾つも、あった。
かれらは、俳優たちの死が、日本国のカオスをあらわしている、もしくはカオスに突き進んでいる──という論調を持っていた。

ほんとにそうだろうか?
わたしは関係がないとおもう。

けっきょく、不倫も死も、一般人であるわたし/あなたには、なんの関係もないのに、この編には、かれらがまとまって出演しているゆえに、なんとなく、それを意識せずにはいられなかった──のだった。

日本人が日本映画を見るばあい、なんらかの先入観/負荷/バイアス/フィルターが不可避になる──ことがある。
俳優たちの因果と、新型コロナウィルスも重なり、俗物としては、なんとなく、シンボライズしたくなる映画だった。わけである。

しかし、ただの映画である。

個人的には「後出しジャンケン度」が大きすぎた。
編が進むたび、後出しジャンケン度が、過剰化している。と思う。

なんていうか、ほとんど、じつはこうだったのですよ──で面白味をかせぐ映画になっているんじゃなかろうか。また、じつは死んでなかった──ってのは反則の領域ではなかろうか。

──とは思ったが、それがクソリプみたいな理不尽な感想だってことは、わかっている。
お金をかけ、しっかり作られている映画であり、すなおに楽しめました。

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津次郎