劇場公開日 2021年7月9日

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「狂っていく灯台守り」ライトハウス 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0狂っていく灯台守り

2022年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2019年(アメリカ)監督:脚本:ロバート・エガース。
強烈な映像体験でした。
《ギリシャ悲劇》・・・
モノクロにして、サイズはほぼ正方形(1:19:1)
2人芝居。会話劇です。

1890年代のアメリカ・ニューイングランドの孤島。
2人の灯台守が赴任した。
ベテラン老人灯台守(ウィレム・デフォー)と、
新人の灯台守の若者(ロバート・パティンソン)
はじめから反りの合わない2人。

ボワわーんーーん!!
ボワわーんーーん!!
大きく鳴り響く灯台の霧笛。
光を届けるための機械音。
耳障りは鴎の鳴き声、頭上の羽音。
若い灯台守は、老灯台守に不当という程こき使われる。
(鬱屈は溜まりに溜まり・・・渦巻いていく)

そして、4週間。
任務明けの日。
嵐・・荒れ狂う海に、迎えの船は来なかった。
そこから修羅場スタートのゴングが鳴る。
若者は問われもしないのに罪を告白。
その告白を聞き、乗じて追い詰めて行くデフォーの狡猾。

人間は閉鎖された空間から抜け出せない極限で、
何者に変わるか?
孤立!!
飢えの恐怖!!
逃げ場のない閉塞感!!
いったい、迎えは来るのか?

互いに言葉で相手を殴りつけ、平伏させて、
精神を追い詰めて行く・・・

ボワわーんーーん。
ボワわーんーーん!
やたらうるさく鳴り響く霧笛(灯台だから!!)
機械音!!
耳障りな鴎の鳴き声!!

不快さは嫌増す!!
止まぬ雨。
浸水。
荒れ狂う海。
そして、迎えは来ない。

ウィレム・デフォーが老いたるダビデ王に見えた。
ダビデ像そっくりのポーズを裸でとるデフォー!!
モノクロ画面にデフォーは、映える。
ロバート・パティンソンも、一歩も譲らぬ怪演。

ラストのパティンソンの攻撃!行為!錯乱!
地獄絵図。
ラストシーンが、この映画を映画史に刻んだ!!

琥珀糖