劇場公開日 2021年7月9日

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「簡単なストーリーで複雑怪奇」ライトハウス Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0簡単なストーリーで複雑怪奇

2022年2月8日
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ザ・A-24映画。極めると映画はこうなるのか。
本作は過去製作されたどんな作品の中でも最もスケールの小さい作品ではないだろうか。なぜなら、灯台守の男二人が永遠といがみ合い、酒の力で仲良くなり、また喧嘩をするだけの映画だからだ。だが最初から最後まで釘付けになってしまうのは何故か。全編モノクロという事もそうだが、画面サイズが小さくなっており、観ている我々はその場を覗き込んでいる様な、一種の閉塞感を感じる状態で鑑賞しているからだろう。
その二人の様子は、デリカシーの欠片もない先輩風を吹かす初老の男性と、寡黙で何か秘密を抱える若者。彼が抱えている秘密が後半に生きてくるのだが、衛生的とは思えない環境下も相まって、この時点で観客も不快感を既に感じているはずだ。

そして、若者に降りかかる災難と不気味な現象の数々。これらが現実の物なのか、はたまた彼の妄想なのか、鑑賞中に誰もが疑問に思うそれは、最後まで明かされる事は無かった。観る人によって、全く違う解釈になるのだろう。
絶対に灯台には近付けさせない「先輩」と、次第に灯台に固執していく若者が後半に差し掛かるに連れて狂気さが際立っていく訳だが、酒を飲んで二人で踊っているシーンなんかはかなり異常だった。そこで明かされる真実と細かい伏線の回収。支離滅裂なストーリーに見せかけ、緻密に練られている様だ。まず万人受けする作品ではないが、幽霊やゾンビよりも怖いのはやはり人だ。あのラストシーンは、人であるが故に陥った闇の末路を象徴する為のものなのでは無いかと思った。
「ウィッチ」の監督だが、独創的な設定と世界観はこの先も爆発するのだろうか。またこういう逸材をウォルト・ディズニー等の会社が放って置くのだろうか。これから先が楽しみである。

Mina