「「カップルが見ると元カノ/元カレを思い出して別れる」と言われていて...」花束みたいな恋をした ミイさんの映画レビュー(感想・評価)
「カップルが見ると元カノ/元カレを思い出して別れる」と言われていて...
「カップルが見ると元カノ/元カレを思い出して別れる」と言われていて、ずっと気になっていた作品だった。
この映画は限りなくリアルな物語なのだろうなと観ていて思った。多少、映画の筋書き上偶然にしてはできすぎているような部分があったところでさえ、恋愛をしている人はみんな自分たちが主人公になった気分になって些細なことも運命のように捉えているということを描いているように思えた。
後半はともあれ、前半はすごく理想的だなと思った。趣味や価値観が合う人と出会い、互いに恋をして、楽しい時間を一緒に過ごして、、、でも、たった数年もすればお互いの考え方は少しずつ変わっていて、最初はほんの小さかったズレがやがて大きな歪になっていた。仕方がないことだけど、寂しく思えた。
この映画の大きな特徴のひとつとして、対比の描写が上手だなと思った。
出会った当時と別れる間際に描かれていた対比は、時の流れを表すだけでなく、二人の心の距離も表れていたと思う。スニーカー、ファミレス、本、映画、ベランダ、、、
特にファミレスは、交際が始まった場所であり終わった場所として大事な場面で登場したが、特に別れ話をしていたところはすごく大事なシーンだったなと思う。結婚をするか、別れるか。どっちに転ぶこともあり得た人生における重要な場面で、世の中には同じような場面を経験した人がきっとたくさんいるのだろうなと思った。
結果として二人は別れるという選択肢をとって、それだけ聞くと一見バッドエンドのようだが、私はハッピーエンドだったのではないかなと思う。別々の人生を歩むことにしたけど、互いに幸せを願った未来への大きな一歩を踏み出したエンディングだったと思う。
人生は始まりと終わりの繰り返しでできているのだなということを強く実感した。