「リアルと親近感に徹した恋物語」花束みたいな恋をした みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルと親近感に徹した恋物語
菅田将暉、有村架純の共演ということで、劇的な展開の派手なラブストーリーを想像していたが全く違っていた。二人の大学生の恋愛の春夏秋冬を斬新な手法を使って、時代背景を取り込んで、緻密に綴った典型的なビタースイートなラブストーリーだった。
本作の主人公は、大学生の山根麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。彼らは、終電に乗り遅れたことで偶然出会い、二人の共通点、共感点が多いことで意気投合し、次第に惹かれ合っていき同棲生活を始める。当初は、些細なことまで完全共感でき、幸せに満ちた蜜月状態の二人だったが、時間が経つにつれ、僅かな考え方の食い違いが起きるようになり、次第に二人の想いは噛み合わなくなっていく。そして、就職時期を迎え、自分の夢を追って生きるのか、自分の夢を捨てて生活のために就職するのかで、二人の心は乱れていく・・・。
麦と絹の心情を麦と絹自身がナレーションで吐露するという手法で、観客に情報提供される。観客も二人の心情を察するのではなく100%把握できる。二人のラブストーリーは、二人だけではなく、観客も二人に同化させられる。また、二人が恋愛中時代のトレンドが架空名ではなく実名で登場する。二人の恋愛のリアルさ、親近感は、従来のラブストーリーとは比べ物にならない。観客自身が麦であり絹になってしまう。
また、二人の恋人としての距離感がユニークである。甘い言葉もなければ、潤んだ目で見つめ合うこともない。愛し合っているのは分かるが、有り触れていて自然である。これが嘘のないリアルな距離感だろう。
本作の山場は、春夏ではなく秋冬の部分である。菅田将暉、有村架純のシリアスな演技のぶつかり合いは見応えがある。夢を追うか、現実的に生きるか、ここでも本作はリアルに着地する。
ラストで二人は恋愛の起点を目撃する。そして、二人が紡いできた恋愛への想いが溢れ出す。ナレーションはない。二人の想いは観客の想像に委ねられる。
みかずきさん、大学時代に出会った女性との恋愛が成就して結婚だなんて、素敵ですね。うらやましい(と言うのも変ですが、私の結婚にはロマンチックなものが皆無だったもので)
絹と麦みたいな恋愛をした人や、沢山出てくる色んな名詞に懐かしさを覚える人にはすごく刺さる映画でしたね。
花束とは長くは続かない儚いもの、という解釈、その通りだと思いますよ。
ただ、それになぞらえるなら、時々部屋に花を飾っていて、あー枯れちゃった、切り花は持たないね、みたいな表現があっても良かったなと思ったんです。タイトルの意味を説明する為にではなく、2人が恋愛を花束に例える人達には見えなかったからです。1度だけマーガレットを抱えているシーンが付け足しみたいに見えてしまったんです。
みかずきさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
『 地元のハンバーグレストランが登場 』、それは嬉しいですね。
そうですね。主演お二人の自然体の演技が絶妙で、引き込まれました。
こちらこそ宜しくお願い致します。
みかづきさん
『 麦と絹の心情を麦と絹自身がナレーションで吐露するという手法 』、主演のお二人がナレーションも巧いからか、観ているこちら側も一層ハラハラ、ヒリヒリさせられましたね。
良作でした。