「コメント表題と点数の乖離にある『矛盾』」花束みたいな恋をした いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
コメント表題と点数の乖離にある『矛盾』
コンテンツとしては”映画”としてのみが表現出来る媒体なのだと思う。深夜枠のテレビではあの二人の主人公は余りにもギャラが高いw ドラマの内容としてのターゲット層は余りにもニッチ。それでいて
そのドンピシャの自分の斜め上を行く落とし処と、題名の過去形でシッカリと発表している結末。今作品のその全てがマーケティングに基づいてしかしその人達の腑には落とさない意地悪さ、人生の苦みをきっちり表現しているところが突出した内容だったと思う。
と、総括的には前置きしつつ、細かいギミックとしてのコンテンツで、”小説”に関しては読書を殆どしないのでこれを評することが出来ないが、”夜電波”の件は自分的には直球ど真ん中のラジオ番組だ。と同時にどれだけの人がこの番組を知っているのかの心配を勝手にしてしまうのも複雑な心境であるw
京王線沿、特に調布、川沿い、これも又自分の過去に色濃く沈殿している紛れもない青春。そんなロケーションの中で繰広げられるキラキラした物語は、しかし確実に1点のみ欠けている事実がある。それはカルチャーのベクトルが限りなく近似値な異性の存在が居なかったということw
但し、その人生最高の出会いが同時に相対的に残念な結果になる”寓話”を表わしてる方法に驚嘆である。果たして幸せだったのか、不幸だったのか、鑑賞後もその答えは見いだせない。それ程割り切れない”素数”的な作品なのであろう。
余りにも自分史に被る会話の中身と、余りにも自分史には影も形もない理想の恋人。そんな引き裂かれるほどの矛盾を落し込んだ今作品の表現コンテンツが”映画”で本当に良かった。もし、配信ドラマだったら鑑賞する事も無かったことだろう。
クライマックスでの通い慣れたファミレスでの別れ話での男の弱さと女の同情を断ち切るようなフラッシュバックと見紛う、ほんの数年前の自分達と同じような初々しいカップル。それはもうあの頃には戻れない、最上の宝物の幻を引き吊り出されたようで、その尊さと現在の煤けた現実との余りにも乖離した事実に涙が止まらない。全てを諦めること、そしてそこからのみ次のステージが開かれる”扉”なのだろうから・・・
でも、それでも自分の正直な気持は、恥ずかしいが二人は会話も無くなったカップルであっても別れて欲しくはない。そうです、だらしない男の代表です(泣) 他のコメントにも『単なる共有できるコンテンツのみで繋がってるカップルである』という表現で切って捨てている人も居るが、では何で人は人を愛するのかを明確に説明できるのかと問いたい。というか、”愛”って何ですか?今作品は"愛”とは程遠い繋がりで愛情を果敢に表現しようとした矛盾のストーリーテリングなのである。
PS.有村架純の布団中から外したブラを外に出すあの演技が今作品の最も秀逸なカットであることは内緒であるw 彼女のギャップ感を最大限に生かしたエロティシズムを見事に引出した監督に称賛の拍手である