「地植えの多年草が理想です」花束みたいな恋をした @花さんの映画レビュー(感想・評価)
地植えの多年草が理想です
よくある恋愛映画だと思って避けていたんですが、カルテットの坂本裕二さんの脚本でしかも書き下ろしと聞いて、劇場へ足を運びました。
ノマドランド→ミナリ→花束の順番で鑑賞したのですが、今作が一番良かった。
やはり脚本でしょう
台詞でしょう
それを表現する演技力でしょう
日本映画は世界で評価されないけど、それは国が映画と言うコンテンツに金をかけないからだと思ってる。
アニメも映画も素晴らしい才能に溢れたクリエイターが沢山いらっしゃるのに、ネームバリューや損得勘定でしか芸術を評価できないクソみたいな感性の権力者の采配で社会の価値観が決められていくのが本当に残念でならない。
さて、今作では有村架純さんと菅田将暉さんのダブル主演。
有村架純さんて、いまいちパッとしない水のような女優さんだな〜と思っていました。
邪魔にならないと言うか、主張しないけど思いはあるんだろうなって言う目をしている。
今作では心の声をナレーションしているので、心情が分かりやすい。
男女間での会話の後の居心地の悪い感じだったり、共感したことで相手との距離が縮まっているって思う心情の些細な変化がとても共感できた。
あるよねぇ。この人は私より私を知ってくれてる〜と。まさに恋は盲目。
物語中盤までは有村架純さんの演技に引き込まれて、コロコロと変わる心情の変化を楽しんでいたのですが、中盤からは菅田将暉さんのターン。
周りからの言葉や自分の評価、立ち位置の変化による心境の変化。
変わりたくないけど、生きてたらいつまでも成長しない人間はいない。
20代の学生の価値観と社会人になってからの価値観はもちろん変わるし、結婚、出産、子育てと心境の変化、経済力の変化、価値観の変化は必ずある。
初恋の頃のまま、生花の花束みたいな恋のままではいつか水枯れを起こしてしまう。
良くてドライフラワーになる。
美しかった花は美しい花束の思い出のままに別れを決意するきぬちゃんに共感しかなかった。
嫌いになった訳じゃない。騙し騙しこの先も一緒にいることはできると語った菅田将暉の震える告白は見事でした。
ああ、あの席に座っている二人はいつかの自分たちだ。と涙が溢れて止まらないって演出が本当に刺さりました。
映画ですから。
演出ありきの映画ですから良いのです。
リアルだなーと思ったのは、別れてからも二人で暮らした場面。
もう、今だから言うけど、と話し合う場面が別れ際あるあるすぎて笑えました。
もう相手を思いやったり大切にしたりしなくても良くなったから、話し合うことができるようになるって心境もある。
逆に最後なんだから、相手に優しくできるって他人の距離感を思い出すって心境もある。
流石に別れた後に元カレ元カノと出会っても後ろ向きに手は振らないけど。
どこかで幸せに暮らしてると良いな。
でも、少し不幸でもいて欲しいな。
などと、久しぶりに別れた相手を思ったりした映画でした。
多分、数年前に見てたら我が身に重ねて号泣してたろうが、こんな時もあったよねーと感想をかけるくらいには立ち直っているんだなぁ。
花束みたいな恋は終わったので
次はセリとは言わずミントの様な大地に根を張って生き抜ける関係をどなたかと築いていきたいです。
観賞後に涙ぐむ彼氏の背中をさすっていたカップルさん、お幸せに。
10代の男子学生さん二人も泣いていたな。
お幸せに。
観る年代によって、今まさにその時期なのか、その時期を超えていったのか、まだ未経験なのか受け取り手の経験に影響する作品だと思いました。
女子には超オススメする。
kossyさん
押井守さんご本人が登場することは珍しいので吹き出してしまいました
若い人の評価や口コミでロングラン上映になったのかなぁ。
劇場で観られて良かったです(*´∀`*)
@花さん
共感&コメントありがとうございます。
確かに別れを決めたから言えること、あるかもしれませんね。でもこれからも一緒に寄り添って行くために言いたいことを言えたらもっともっといいですよね。
坂本裕二さんの脚本深いですね。
今やってるTVドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』も録画だけしててまだ観ていないので楽しみです。
押井守は言われないとわかりませんでした。
鑑賞後にネットで調べたくらい・・・
それにしても若い人たちにはウケがいいみたいですね~
今、TVドラマでも共演してるみたいですけど、どんなドラマなんだろ?