「感想が無いことが感想、何も言えない。」花束みたいな恋をした ためいきシンドロームさんの映画レビュー(感想・評価)
感想が無いことが感想、何も言えない。
話の流れに無理がないというか、明らかなフィクションという部分が一切なく、本当にリアルに作られていた。
そのおかげで自分のこれまでの恋愛経験や恋愛観を見つめ直しながら見ることが出来た。
私は映画上映中には泣くことは無かったが、帰りの車の中で映画の内容を整理していたところ涙が止まらなくなった。
時間差で涙が出てくるなんて初めての経験だった。
危うく事故を起こすところだった笑。
映画を通して感じたことは、男女の考え方の違いである。
愛しているが故、絹ちゃんに不自由なく幸せに暮らしてもらうために自分の本来やりたいことを諦めて労働者となった麦くん。
一方、趣味や価値観が合うことがきっかけで付き合ったことを大切に想っている絹ちゃんは、出会った頃と同じように好きな事を共有したい気持ちを持ち続けている。
この違いが歳月を経て大きな壁となり2人に別れを告げるのだと思った。
もし、麦くんが絹ちゃんの本当に願うことに気づけていれば…、また麦くんが絹ちゃんに直接聞くことが出来ていれば…。
もし、絹ちゃんが麦くんの真意を心から理解して変わっていく麦くんを受け入れてあげることが出来ていれば…、また麦くんに直接望んでいることを話せていれば…。
(絹ちゃんは、麦くんが言っていた「僕の人生の目標は絹ちゃんとの関係の現状維持」という言葉を信じていたのかもしれないが…。)
こんな”たられば”を思ってしまう映画だった。
お互いに愛しているのに離れていってしまう儚さ。
恋は始まった段階で終わりへと向かっているという悲しい現実。
この2つのことを痛感させられたが、それ以上に恋をすることは素晴らしいと教えてくれる作品。
個人的に印象に残っているシーンは、お互いが相手を想ってクリスマスプレゼントとしてあげたワイヤレスイヤホンが、後々お互いを避けるようにして使うことになってしまう点だった。
改めて考えるととても切ないと思う。
また、別れた絹ちゃんがイヤホンを触りながらSMAPのたいせつという曲についても思い出して口に出していたところも印象的だった。
この曲はポップな曲調で2人の時間が大切であるということを強く伝えてくれる曲である。
それを別れた後の思い出として語っているところが、麦くんとの時間は思い出として割り切れているのだなと感じさせられるシーンだった。
最後に。
”花束みたいな恋をした“は、本当に素晴らしい作品だった!!!