「キラキラ恋愛なんぞクソ喰らえ!」花束みたいな恋をした ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
キラキラ恋愛なんぞクソ喰らえ!
これは2015年から2020年までを生きたカルチャーを愛する人間を描いた映画です。
冒頭から別々の異性と仲良くしている主演2人が映ります。既に物語の結末を冒頭で描くあたり意地悪な作品だなと思いました笑
最初の出会い自体は奇跡みたいな出会い方で、終電を逃して、たまたま入ったバーで、押井守監督がいて、天竺鼠のライブを2人揃って逃してて、みたいな句読点が続く模様が非現実的でクスクス笑えてきました。こんなに合う?と。
少しだけ時間を重ねて、スマホ越しの告白からのお付き合い。すぐにキスと展開早いな〜と思いつつニヤけていました。セックスまではもっと早く…非現実そうな現実が目の前で繰り広げられており、パンケーキを食べてる何気ないシーンも実はセックスした後の2人と、なんとも毒の効いた描写だなと思いました。
前半部分はバカップルぶりが遠慮なく発揮されていて、2人での暮らしの場所を大きくしてフリーターすげーなと思いながら見ていました。住居作りの過程も面白く、こんな部屋に住んでみたいなと思うくらい素敵な部屋でした。
年月が経つつれに滲み出してくるカルチャーの匂いがたまらなく心地よかったです。シンゴジラ然り、君の名は然り、ゼルダ然り、と大好きな作品たちが固有名詞で語られているだけでなく、ちゃんと物語の軸として支え合っているので、とても感心しました。
しかし、2人とも就職してから雰囲気は険悪になってきます。生活のすれ違いだけでなく、読む本の種類が変わってきたり、態度が投げやりになってしまったり、喧嘩するようになってしまったりと、私自身が元カノにフラれた時に言われた"価値観が違う"という言葉が思いっきりささりました。こうやって彼氏彼女の関係は乱れていくのだなと。本を雑に投げたり、バンッ!と置いたりと本好きならしてほしくない行為もやってのけてしまうので見ているだけで辛いシーンでした。
ただいるだけの2人と化してしまったのもあり、終盤あたりは他人行儀のような感じでした。しかし別れを切り出そうと考えているタイミングも同じで、何かと相性自体は良いんだろうなという2人が最後に楽しんでいる様子は、付き合いたての頃の2人のようで微笑ましいと思いつつも、寂しいなとも思いました。最初に告白したファミレスで別れを告げる。この演出がグッときて、終わってしまうのかこの恋は。とヤキモキしてしまいました。2人の過去を鏡写しかのように描かれる若者2人も(清原果耶さんが不意に出てきて驚きました。)また共通の話題で盛り上がっている、そんな2人を見て泣き出す2人、そして抱きしめながら別れのモノローグが出るあたり演出にくいなーと思いました。
別れた後も少しだけ過ごす2人は付き合っていた頃よりも楽しそうだけれど、モノローグで入る"もうこれは別れた2人"で現実に引き戻してくるので、もう少しこの幸せを味合わせてくれよ!とニヤけながら見ていました。
鑑賞日 2/4
鑑賞時間 14:45〜17:10
座席 K-14