「団子みたいな恋をした」花束みたいな恋をした ソマさんの映画レビュー(感想・評価)
団子みたいな恋をした
自分とあんなに読む本とか身につける物とか選ぶプレゼントまで似ている相手って、安心感や居心地の良さはあるだろうけど、刺激はないし学びや気付きも少ないからね。マンネリになるよ。
自分と似ている=相性がいい、とはならない。
挙げ句すれ違いになったらお互い歩み寄ったり支え合おうとする姿勢が足りないところまで似ている。飽きてどうでも良くなりながらダラダラ続けるとこまで。
ああいうすれ違いを乗り越える過程で絆が深まり、お互いに成長するものなんですが、どうやらそういうのはない二人みたいですね。
そんなの別れますよ。
花束みたいな恋って、もっと自分にない世界観や魅力がある人に出会って、新たな自分を開拓されたような感動があって、身を焦がすような恋…なんじゃないのかな?
よほど自分大好きなナルシストか、結婚焦ってる人じゃない限り、こういう自分と趣味嗜好が似ている相手に燃え上がることはないと思う。
花より団子ってことわざがありますが、これじゃあただ花(未知なる刺激的な相手との燃えるような恋愛)より、団子(自分と極めて似た相手との安定のある恋愛)を取ったカップルの、悲しきマンネリの末路ですよ。
泣きながら別れてますが、あんなに歩み寄る気持ちが全くもてない無関心な相手との別れの時にあんな風に泣かないでしょ。相手を理解しようと必死に努力したけれど埋まらなかった…とかなら分かりますが、全然違うじゃないですか。一体どんな涙なのか、不明でした。
最後にお互いに新しい恋人がいながらこっそり手を振り合うシーンで、ずっこけました。自分の恋人が元恋人にそんなことしてたらさすがに気持ち悪い…。ああ~そんなとこも似てるんですかと。
思い出を美化するのはいいのだが、あの長い交際を経て一つでも相手から自分にない何かを学び得たり、自身を顧みて反省することはあるんだろうか?
自分と価値観の合わない相手にことごとく興味を失うというナルシストな二人なんで、なんとなくそんなのはなさそうに思えてしまうのがまた悲しい。