劇場公開日 2021年1月29日

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「恋愛映画の金字塔、真の社会派映画」花束みたいな恋をした ようこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0恋愛映画の金字塔、真の社会派映画

2021年2月4日
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泣ける

楽しい

怖い

「『現代』の『リアル』な上質『サブカル』恋愛映画」という側面だけでも面白く消費できるが、その実この映画はそこら辺の社会派映画より切実に現代を表象し、必然的に批評している。そして、それは脚本家の過去作品を見る限り明らかに無意識的にやっているわけでは無いと気がつき、その手腕にゾッとした。

LとRで違う音を出し同じ音楽を流すイヤホン、押井守がこの映画に引用(出演)される理由、この映画に大人がノスタルジーを感じることのグロテスクさ、カルチャーに興味の無い人間からすれば衒学的な下品さを感じるほどに羅列されるが綿密に意図を託されている固有名詞群、スタバのコーヒーコンビニのコーヒー、積荷をトラックごと東京湾に捨てる宅配ドライバー、マクロに俯瞰しミクロに記録するグーグルマップ。予告映像から徹底され意図的に閉塞化されたボーイ(ガール)ミーツガール(ボーイ)作品。テレビが主戦場であり、かつてはセカチューの脚本家といまあいの監督だったという事実も面白い。
21世紀日本の映画史に刻まれてしまう大傑作。

むす子