劇場公開日 2020年3月20日

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「平成とは。」弥生、三月 君を愛した30年 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0平成とは。

2020年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

監督のオリジナル脚本なので、もしかすると、最初から波瑠と成田凌を両主演を念頭に置いて当て書きしたのではないかと思うぐらいに、二人のキャラクターにしっくり来る、よくできたストーリーでした。

優等生で、ともすると「正義マン」になりがちな主人公の弥生の不器用な生き方。これなど、まさに波瑠さんのキャラクターそのものでしょう。

そしてチャラさもどこか中途半端なら、誠実さも中途半端。サッカー部での活躍も中途半端な役柄の成田凌。

青春時代。
目の前に、ありとあらゆる可能性が開けていて、輝く未来に手が届きそうに思えていた時をスタートとして、「喪失」をテーマに、日々を描きます。

選択肢が失われるのが早過ぎたサクラと、ゆっくり、ゆっくりと選択肢が失われ行く弥生と太郎。
「選択肢の喪失」が大人になるということなのだとすると、大人になるとは、なんと残酷なことなんだろうと思わせるお話で、心に沁みる美しく哀しいシーンが山盛りのお話でした。

いったい何十箇所でロケを行ったのやらと驚かされるほど膨大なシーンの積み重ねによって丁寧に手間を惜しまず描かれた、青春から初老までの長い時間の流れを、わずか2時間に圧縮したドラマで、彼と彼女が生きた、幸せとは言えなかった30年間を振りかえる、しみじみとしたお話でした。

成田凌って、若いけど、ほんと名優だわと感心させられました。

お水汲み当番