劇場公開日 2020年2月14日

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「どこでシーンを繋いでいるかに意識が取られ過ぎて…」1917 命をかけた伝令 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0どこでシーンを繋いでいるかに意識が取られ過ぎて…

2021年10月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

「ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド」で第一次大戦物に触れた関係で
「西部戦線異状なし」に引き続いて鑑賞。

あたかもワンカットで撮ったと感じさせる
映像で話題になった作品だが、
逆にどこでシーンを繋いでいるかに
意識が取られ過ぎて、
観客が“戦場にいるような状態を味わう”
との謳いには、
皮肉にもむしろ反作用してしまい、
戦場になかなか入り込むことの出来ない
一要因になってしまった。

そもそも話の設定がよく解らない。
敵の罠だと判ったのが偵察飛行によるもの
だったほど
元々制空権を制しているのだから、
何故飛行機からの伝令投下にしないのか
との基本的な疑問から(祖父の話からの
引用ストーリーだとしても、
話の膨らませ方に無理があるのでは?)、
伝令に出発した後の各エピソード、
ドイツ軍が放棄した塹壕でのトラブル、
トラック部隊との合流移動、
敵スナイパーとの対決、
そして目指した森の近くでの女性と赤子との
触れ合い等々、
それぞれが本旨を上手く補完出来ていない
冗長なイメージで、
アカデミー賞では技術系部門のみの受賞に
終わったのが肯ける印象だった。

だから、信じられないようなカメラワークや
作品の全てをワンカット風に描くとの
撮影技術には驚かされるばかりの、
その点において優れた作品ではあるものの、
しかし、それ以上でもそれ以下でもなく、
正直なところ、
塹壕戦の描写やテーマ性の点において
「西部戦線異状なし」に及ぶべくもなく、
私にとっては、
長々と続く塹壕での主人公二人の移動の
序盤のシーンが全ての作品に思えた。

KENZO一級建築士事務所