「 それでも世界は廻っている。」1917 命をかけた伝令 ひとさんさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも世界は廻っている。
全編ワンカット風の撮影が売りに押されている作品。
内容は二人の兵士が伝令の任務を遂行する為、動物の死体や
鉄格子の張り巡らされた危険な道を渡らなくてはならない。
果たして若い兵士の運命はいかに、という作品。
その売り文句通り、他の映画に比べ「流れ」を強く感じる作品です。
序盤の偵察シーンや、街中を激走するシーンなど良くも悪くも、物事に対する
「過程」を丁寧に描写しており、目的地への距離感や道中のトラブル、問題に
対する復帰への流れなどをより鮮明に感じることが出来ます。
主人公が急いでいても立ち止まっていても多くのトラブルに見舞われようとも、
少し心が和むような雰囲気になっても時間は進み続ける。
途中から集団に入れば集団内で行われていた会話は途中から聞く事になるし、
塹壕内をひとたび歩けばタバコを吸う人間、会話している人間、寝る人間など
様々な人間模様がそこにあり、そこには手を貸してくれる人間や、気にかけて
くれる人間も少なからず存在します。
そういった描写もまたワンカット故に、
丁寧に描写されていると思いました。
終盤においても前半の対比が簡単に描写されているので
分かりやすく良い終わり方だと思います。
悪く言えば、合間が長く冗長な作品なのかもしれませんが、
個人的には、結論に至るまでの過程を細かく描いており、どんな状況に置かれ
ようとも時間は進み続けるし、自分の見えていない部分でも物事は進み続け
ている、という状況を、知覚できる雰囲気が、リアリティを助長していて
非常に好みの作品でした。
戦争映画がお好きな方、ワンカット風戦争映画に興味が湧いた方、是非ご覧下さい。