劇場公開日 2020年2月14日

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「戦争"エンタメ"映画としては良作だが…」1917 命をかけた伝令 ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0戦争"エンタメ"映画としては良作だが…

2020年8月31日
iPhoneアプリから投稿

コロナウィルスによりやむなく断念していた本作をプライムビデオでようやく視聴。
体感映画として楽しむべく、極力劇場に近い環境で見ました。

開幕早々、長回しならではの没入感も相まって一気に引き込まれました。
塹壕の中の生活感溢れる演出も見事で、あたかも自分が100年前の戦場にいるような錯覚すら覚えるほどリアリティがありました。
主演2人のキャスティングも見事で、いい意味で"モブ感"のある風貌は没入感をより高めてくれています。演技も全般的に良かった。

戦争"エンタメ"映画としてはこの時点で○。
ですが、戦争映画として見ると疑問が残るところもちらほら。

まずこの映画、全編ワンカット"風"なのであくまで擬似的にカットがないように見せてるわけです。が、それにしても強引に繋げたのがありありと分かる箇所がいくつもあり、それまでの没入感が台無しになってしまっています。リアルタイムのノーカット物かと思いきや時間も編集でスキップしてしまう。戦争の擬似体験として見ていると、とたんに「これは映画なんだ」と言わんばかりの嘘っぽい演出を突きつけられるわけです。この辺りも好みが分かれるでしょう。
更にストーリーもエンタメ要素優先でイベントを盛り込むあまり、後半からはリアリティを感じなくなってしまいました。

加えて主人公。その容姿こそモブ感あったものの主人公補正が強すぎます。
爆発に巻き込まれ瓦礫に埋まり、頭から大量出血したあげく溺れてもピンピンしています。それどころか全力疾走しています。マクレーン顔負けのタフさです。
これでは緊張感が続かなくなってしまいます。
更に後半で登場するある有名俳優の登場によって「これはフィクションだ」という認識が決定的になってしまうのも勿体なく感じました。

つまるところこの映画、全編ワンカット長回しとWWⅠという題材の食い合わせが悪かったのでは無いかと思うのです。
同じ全編ワンカットでも「バードマン」が楽しめたのに対し本作がそう感じれなかったのは、エンタメとして振り切るには題材があまりに重すぎたというのもあるかもしれません。

とはいえ、こう言った指摘も作品に没頭してしまえば気にならないのでしょう。そこで評価が割れると思います。またスクリーン向けの本作、劇場で見ていたら評価は更に上がっていたかもしれません。

技術的に優れているのは間違い無いですし、エンタメ大作でWWⅠを題材にしたことも意義深いと思います。一度見る価値がある作品なのは確かです。

個人的には本作を見た上で、ピーター・ジャクソンの「彼らは生きていた」をぜひ見てもらいたいです。
また、ワンカットシーンのある映画として「トゥモローワールド」もオススメです。

ジョイ☮ JOY86式。