「最後まで見届けよ」1917 命をかけた伝令 じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで見届けよ
封切り時に見逃したが、今回のコロナのせいで、リバイバル(というほど古くはないか)上映をしていたので、見ることができた。
期待通りの素晴らしい映画だった!
名作揃いの戦争映画の代表作として、長く記憶に残りそうな気がする。
(正直言って、似たような長回しと撮影技法のあの映画より、ずっと)
全編ワンカットという触れ込みだったので、興味深かった。古くはヒッチコックに始まるギミックと思うが、違和感なくつなぐ手法に感服。もちろん撮影自体がワンカットなわけはなく、CG等駆使して、そう見えるように作ってあるのだと思う。それが現代のというものだろう。(主人公のひとりが敵兵に刺されたときは、顔色がみるみる蒼白になっていく。メイクだけでこれはできないだろう。)
その効果の絶大なこと。
一人称で語られる小説を読んだようだ。
絵画や写真などであるような、人物の視線の先に何を見ているかを想像させることで、どんなパノラマよりも情景を雄弁に語っている。
しかし、ときに、カメラは主人公の背中に回り込み、答えのように実際にその光景を見せてくれる。そこには想像を超えた悲惨な状況が繰り広げられ、見たものを戦慄させる。
そこかしこにある死体の山、死臭さえ伝わってくる。カラスもいい演技をしている。馬の死体はどうやったのかな?
画面の外に何かあるのかを予想させる手法は、サスペンスやホラーでよく見るが、画角が切り取られることの制限をうまく使っていると思う。
途中で椅子から飛び上がるほど驚いたシーンが2度ほどあったけど、それも音響とサスペンスのなせる技だ思う。
主役のスコことジョージ・マッケイは、不明にして知らなかったが、子役から20年以上のキャリアを持つ役者のようだ。初出のシーンでは無表情で目も細く、相方のズングリしたブレイクことチャップマンとのコンビはSWのあのコンビを彷彿とさせる。二人とも少年兵と言ってもいいほど幼い顔立ちだ。しかし、困難を克服するにつれ、次第にたくましく大人の表情になっていく様子がみごとだとおもった。たった一日の話だが、実話に基づいていて、より重さが記憶に残る。
キングスマンの二人と、カンバーバッジが出ていたことを見るまで知らなかったけど、ちょい役なのに、印象的な役だった。