「新体験!」1917 命をかけた伝令 sannemusaさんの映画レビュー(感想・評価)
新体験!
第二次世界大戦。戦況を左右する重大な伝令を託された兵士が、伝令を伝えるために戦場をただただ目的地へと進む。
カメラは彼をワンカットで追いかける。
観客は何の説明もなしで戦場に放り込まれるんだけど、映像から伝わってくる情報量がもの凄い。
緊迫感、戦場の広大さ、突如始まる戦闘、ぬかるみの不快さ、死体のおぞましさ、恐怖感も安心感も。主人公のスコットフィールドと時間も空間もともにすることでこんなにも身に迫るものがあるんだなと。
普通の作品だと一部で取り入れられたりする手法なんだけど、全編でやってのけるのはホントに凄い。
惣田監督の観察映画とも似てるなと思ったけど、こちらの方はぐっと主人公の目線に引き込んでくる。
あと、アンチャーテッドとかプレステのアクションゲームやってる感覚にも近い。
臨場感だけじゃなくて、映像美も素晴らしかった。
きっと実際の戦争もこうだったんだと思わせるような、長閑な時間と、緊迫の時間の緩急。死体がそこら中にゴロゴロ転がる戦場の風景。広大な野原。夜が明けて行く青の美しさ。空深い森からかすかに聴こえる歌声。戦闘シーンは多くはないものの、風景や死傷者からもまじまじとわかる戦争の残酷さ。はっとする瞬間が何度もあって、脚本も素晴らしかったなと。
スコットフィールド上等兵の、おそらく彼の人生でもっとも長くドラマチックな1日をこんなにも鮮やかに表現していることにただただ感服。
もう一度映画館で観たくなる作品。
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