「「必ず戻って来て」泥沼の塹壕から走り出した二人の伝令」1917 命をかけた伝令 ezuさんの映画レビュー(感想・評価)
「必ず戻って来て」泥沼の塹壕から走り出した二人の伝令
カテゴリーは戦争映画だが、一秒後に生きている保証のない切羽詰まった戦場の恐怖と、束の間の深い友情に胸を打たれる。
第一次世界大戦は汚泥と悪臭に満ちた塹壕戦だと言われ、毒ガス戦ともいわれる凄惨なものだったらしく、運良く帰還出来ても大半は精神を病んだと聞いている。
そんな大雑把な知識しかなくても、映像の緊迫感はリアルで、選ばれた2人の伝令が、味方塹壕の先端から荒れ果てた前線に這い上がるショットでは、狙撃兵の銃弾が今にも飛んできそうなサスペンスの描写が素晴らしい。
ドイツ軍の罠にまんまとはまった1600人の部隊の中に彼らの兄が居るという、上層部のずるい人選が尻を叩き、適中突破のスリルの中に男の絆を織り込む泣かせどころが上手い。
胸ポケットのハードカバーに入れられた家族の写真に「必ず戻って来て」とあるのが救いで、日本の様に「天皇の為に死んでこい」とは大違いの反戦映画だ。
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