「見せ場は全部予告編に」1917 命をかけた伝令 オフさんの映画レビュー(感想・評価)
見せ場は全部予告編に
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サムメンデスだし、評判もいいし、かなり期待していたのだけど…
そもそも全編ワンカットではない。(宣伝文句も、ワンシーンワンカット、という微妙な表現をしていることに後で気付いた)
というか、ワンカットにする意味がよく分からない。その分キャラクターのドラマは掘り下げられず、物語の大きな動機となっている友人の兵士のお兄さんが最後に出てきてもいまいちグッと来ない。
そうしたドラマ性を犠牲にして、ワンカットの没入感がどれだけあるかというと、カメラワークが滑らかすぎて、いかにも作り物感が出過ぎ。映画序盤、敵地に向かうため前線の塹壕から主人公たちが恐る恐る顔を上げて乗り出すところも、カメラが主人公たちより先に頭上高く上がっていくため
敵に見つかるかも、のハラハラ感がない。ダンケルクの臨場感とは程遠い。そして、見せ場のほとんどは予告編で出てきたところなので、どこで何が起こるかわかってしまう。
別に僕が何と言おうとこの映画は名作にカテゴライズされるだろうけど、パラサイトが作品賞で本当に良かったと個人的には思う。
きっと、サムメンデスが祖父の話をもとにした、かなり個人的な作品にしようとしたところを、ベテランカメラマンが、「おれの職人技を世界に見せつけたいから、ワンカットで行こう」と言い出し、イギリス人監督には有無を言わさず話を押し進められたのでは、と勝手に同情した。
ただし、ラストの戦場を駆け抜けるシーンはすごい。これは本当に良かった。
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