劇場公開日 2020年2月14日

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「戦局を変える“個の力”が説得力を持ち得た最後の戦争」1917 命をかけた伝令 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦局を変える“個の力”が説得力を持ち得た最後の戦争

2020年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

怖い

興奮

サム・メンデスが全編ワンカット風の映像を選んだ理由。第一義的には、伝令兵が戦場で見る景色、聴く音、過ごす時間、緊張と感情を、観客に体感させるためだ。兵と一体化して前線を駆け抜ける感覚になるか、少なくとも彼らと並走している気分になる。

1917年という設定も、友軍1600人の絶体絶命の危機を“個の力”で救おうとする命懸けのミッションに説得力を持たせるのに有効だ。第一次大戦は砲撃の距離と精度が増し、戦車と航空機も登場した。航空写真でドイツ軍の陣容は把握したが、友軍との通信が敵の妨害によって絶たれたという設定も巧い。これにより、未熟な兵がわずかな装備で発ち、敵の攻撃や罠を必死でかわしながら走り続ける筋にリアリティが加わる。第二次大戦以降になると兵器も通信技術も進歩し、個の力で戦局を変える物語は成立し得ないだろう。ワンカット風の映像は、1917年の伝令兵を描く最適解だったとも言える。

高森 郁哉
Rやまだたろうさんのコメント
2020年2月26日

ワンカット風なのですね。少しガッカリです。

Rやまだたろう