劇場公開日 2020年2月14日

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「はじめのカットから、おわりのカットへ」1917 命をかけた伝令 yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0はじめのカットから、おわりのカットへ

2020年2月15日
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鑑賞方法:映画館

初めて予告を観たときから、絶対劇場で観ると決めていた作品

ドイツ軍の作戦とも知らず、撤退したドイツ軍を追撃すべく、動くことを決めたイギリス軍の最前線の大隊
しかし、それはドイツ軍の作戦であり、逆に全滅させられることに気づいた本部
しかし、電線はドイツ軍により断たれ、伝えるには人が行くしかすべがない
選ばれたのは、大隊に兄のいるブレイク、そして内容も知らずに彼が選んだスコフィールドのふたりのみ
最前線と本部の間は、撤退したとはいえ、ドイツ軍の残した罠が待ち構える道のり
残された時間は明朝の作戦決行まで
この無謀とも思える任務をふたりは成し遂げ、最前線にいる大隊、1600人の命を守れるのか

はじめのカットから、おわりのカットへのつなげ方がとても秀逸だった

そして、この作品の良さを引き立てているのも、そのはじめとおわりのつなげ方に意味を持たせたのも、間違いなくワンカット撮影によるものだと思う
観ている側はそのせいで全体像も位置もよく分からないが、戦場を駆け抜けている彼らにもそれは大して変わりない
だからこそ、いつしか、この重要な任務に同行しているように感じ始める

道のりが進むほどに、こちらの緊張も高まっていく
何度となく、体に力が入り、何度となく、息を止めてしまう
それでも、立ち止まらない歩みから目を背けることは出来ない
たくさんの命を、兄を救うための、歩み

そして、後半、大佐のもとへ走るその姿に、思わず涙がこぼれてきた
それは、悲しさや怖さや不安でもなく、勇気や感動でもなく、ここまで息を詰めて同行してきた私の感情が炸裂した涙だったと思う

最後のワンカットにたどり着いた時の気持ちは、ネタばれになるのであまり書けないが、同じような気持ちだったのではないかと思う感じだし、ようやく力が抜けたようで、忘れがたい

ダンケルクもそうだったけれど、これもまた、劇場で観るべき作品
ホームシアターでもなければ、確実に感じるものが変わる

それにしても、ベネディクトカンバーバッチの使い方が贅沢だし、BBCのシャーロックのファンとしては、シャーロックとモリアーティが出て来るのに反応してしまった

yukarin