劇場公開日 2021年1月8日

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「【大正デモクラシー】」大コメ騒動 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【大正デモクラシー】

2021年1月10日
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これは、大正時代に米の価格が暴騰し、そして、日本男児が手をこまねいてボーッとしている間に、女性が動いたという話だ。

こうした映画が出るたびに、フェミニズムだとか批判めいた発言をする輩が出てくると思うが、そんなバカな輩の理解の及ばない、これは戦後民主主義にも影響を与え、石橋湛山をして、民主主義の発展史上特筆すべきとした大正デモクラシーの話なのだ。

富山に端を発し、全国に広がった米騒動は、大正デモクラシーのボトムアップの根幹となったものだ。
国、米問屋の横暴、そして、映画には描かれていなかったが、新聞社に対する圧力もあった。

トップダウンとしては学者やジャーナリスト、一部の政治家によるより一層の民主化運動、普通選挙(但し、男子だけ)導入、護憲運動などがある。

映画は、そうしたトップダウンの部分は描かず、メディアが弾圧されていた様子も盛り込まれていない。

とにかく、漁村で困窮し、格差に喘ぐ女性にフォーカスしているのだ。
富山の男性は、一日に米を一升も食う割に、出稼ぎや蝦夷地に出向いていない連中は、決して一生懸命働いているようには見えない。
これが本当の穀潰しというやつだ😁

だが、対比するように、女性が必要以上にパワフルに描かれているわけでもない。

いとの表情は周りを伺い、どこか弱々しかく、決して争いを好んでいるわけではないことが判る。
そして、オピニオンリーダーというより、何か事を起こすときは、皆に頭を下げて回る、実は、ボトムアップの存在でもあるのだ。

いとの周りの女性も、分断作戦に翻弄され、似たようなか弱い存在だったのだ。

それが、一塊になった時に、大きなうねりとなる。

それは、現代でも同じだろう。
この映画の公開に寄せて、主演の井上真央さんが、当時からしたら女性の声は確かに通るようになったと思うが、小さなことも含めて、もっと、そうなると良いと思うとインタビューに答えていた。

欧米で始まった#MeTooは女性のムーブメントとしては代表的だが、この作品で描かれた米騒動は、実は社会全体の問題で、女性が社会を変革するきっかけになったものだ。

だから、フェミニズムとは異なる特筆すべきものなのだ。

映画ではシベリア出兵の話題が出てくるが、この時期のロシアの共産革命をきっかけに、革命思想や一層の民主化運動の波及を恐れた政府が、天皇制や国家神道を護持を掲げ、治安維持法が導入されて、その後、日本は第二次世界大戦に突き進む。

こうした反動はある。

だからこそ、僕達はバカな政治を常に監視しなくてはならない。

黒川検事の問題はTwitterデモになり、今、さまざまな政治の問題にメスが入っている。
安倍の桜を見る会の問題も同様だ。
安倍や安倍取り巻きの狼狽っぷりは、寺内内閣の総辞職みたいなものだろう。

いとの変わらない優しい表情は人間としての本質でもある。

利夫の帰りに安心して…顔は日に焼けて真っ黒だが、はにかむような表情は、そうした優しさを表しているのだ。

普通の女性であり、母であり、妻であるのだ。

夫婦別姓の要求に対抗して、常に議員のポジション誇示するように胡座をかいて、「氏の安定性」とか訳の分からない理由を振りかざすドブスの国会議員とは大違い(人物を特定していないので謝る気はありまへん😁)で、井上真央さんには、なんかグッとくるのさ。

ワンコ