「【”昔は毎日一升も米を食べていたのかい?米の値段が上がれば死活問題だね!”女が動いても何も変わらん”と言われた時代、胆の据わったど根性女性達の怒りが炸裂し、時代を変えた物語。】」大コメ騒動 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”昔は毎日一升も米を食べていたのかい?米の値段が上がれば死活問題だね!”女が動いても何も変わらん”と言われた時代、胆の据わったど根性女性達の怒りが炸裂し、時代を変えた物語。】
■劇中のキチンとした登場人物は、殆ど女性である。
◆出てくる男性は
・愚かしき、スケベ商人(石橋蓮司:似合い過ぎである。この芸を継ぐ方は現代邦画界にいるのであろうか?)
・愚かしき、大阪新聞社主幹(木下ほうか:嫌味な男を演じさせたら、三本指に入るね。)
・愚かしき、娘の結婚費用を妾に使う、”仲使”の父(吹越満)
・愚かしき警察署長(内浦純一)
・・とまあ、見事に愚かな輩ばかりである。
◆それに比べ、貧しいながら毎日、家事をこなし、子供の世話をし、都市部の人口急増や好景気、シベリア出兵の影響で米需要が高まる中、沖合に泊まる船に富山のコメを積むため、実に重そうな米俵(何キロあるんだい!)を毎日、足場の悪い海岸で小舟まで運ぶ・・。
とにかく、朝から晩まで働き通しの、女性たちの姿。
- あの重そうな米俵を運ぶ、鬼の形相の女性達。
”男が運べ、男が! 船の所でウロチョロしている、お前だよ!”
と脳内で叫びながら鑑賞。-
◆米一升の値段が、20銭から33銭、42銭と上がって行く中、”悲劇”が起こる。
◆登場する女性(女優)たちの様々な形での、逞しさ、凄さ。
・いとを演じた井上真央さん(あの、凄い形相!)も凄いが、
・女たちを束ねるしたたかな”清んさのおばば”を演じた、室井滋さんの凄さ!
- 相手を騙すには、まずは味方からですよね!-
・米商店の”頭、叩いたろか!”と思ってしまった程の憎らしい女将を演じた、左時枝さんの憎らしいほどの、凄さ。
- 見事な悪徳商人振りである。黄門様か大岡忠助は、時代的にいないか・・。-
・いとのしっかりものの姑を演じた、夏木マリさんの、皆をまとめようと奮闘するいとを見る優し気な眼差し。
・女にだらしない夫に手を焼きつつも、明るさを失わないトキを演じた鈴木砂羽さん。
◆あの”米を旅に出す事”を阻止しようとする浜の女性たちの、ラガーマン張りのタックル!タックル!”漁網”を使ってのモール!
<”女が動いても何も変わらん”と言われた浜の女たちの米価格高騰への怒りが、全国に飛び火し、寺内内閣を辞職に追い込み・・。
”日本の女たちが時代を変えた”「米騒動」を描いた作品。
”女性は強し、されど男はキチンと女性を守るべし”と思った作品でもある。>
■蛇足
・いとの夫を演じた三浦貴大さん。
冒頭と、ラストのシーンしか出演していないじゃない! ”良い仕事だなあ!!” (ゴメン)