ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のレビュー・感想・評価
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最後に一花咲かせたい
ヘルシンキで画商を営む主人公は老境に入り、もう一花咲かせたいと思っていた。
ある展示場で名画だけど署名のない絵を見つける。
疎遠な一人娘の息子と調べ始めたところ・・・。
気持はよく分かる。
【”生涯を掛けた仕事は、必ずや報われる・・。”フィンランドの老画商が見出した画と、人生の真実を描いた作品。】
◆イリヤ・レーピン 近代ロシアの偉大な画家・・。知らなかった・・。
ー 物語は、フィンランドの老画商、オラヴィが、或る画展で”男の肖像画”を見つけるところから、始まる。長年、画を見てきた彼は、その画がレーピンの作であると確信するが、画にはサインがなかった・・。 -
■感想
・オラヴィと、ヤンチャな孫のオットーとの関係性が描かれる前半。オットーは、”ある事をしたために”オラヴィの店番を嫌々ながらする。
ある日、オットーは1250ユーロの画を1650ユーロで売り、オラヴィには1500ユーロで売れた・・、と嘘を付く・・。
- このシーンが、後半の出来事を暗示している・・。-
・オラヴィが、”男の肖像画”を手に入れるために、金策に走り、競りで10000ユーロで手に入れるが・・。オットーの貯金、娘レアにまで借金を頼む姿。
- 昔から、オラヴィが家庭を顧みず、画に没頭してきたため、娘との関係が悪化していた事が分かるシーン。 -
・腹黒い画商にヤラレタ、オラヴィは店を畳むことに・・。そこにかかって来た、”男の肖像画”の真贋査定を依頼していた美術館からの電話。
”聖画なので、レーピンは誇示より、謙遜を重んじ、サインしなかったものと思われます・・”
<オラヴィ亡き後、”男の肖像画”の裏に隠されていた、レアへの謝罪の手紙。
そして、
”キリストの絵は、オットーに譲る・・”
と言う言葉。
静謐で、品のあるフィンランド映画の佳品である。>
仕事早退、劇場へ。二本立て一本目。 老美術商、最後の賭け。この主人...
仕事早退、劇場へ。二本立て一本目。
老美術商、最後の賭け。この主人公、なかなかのクズっぷり(笑)そしてアシスタントの孫もこれまたクズ。しかし頭のいいクズ。余計にアカンか(笑)セリの場面、本当に名画なのか?なかなかドキドキします。もう1人のウルトラクズも出てきます。
ここから微妙なネタバレあり、注意。
しかし納得いかんのは、なんで証拠まであるのに…ってところ。もっとアピールすればいいだけやん。全体的にトーン暗め。スカッとできる要素はあるが、敢えてそうしなかった感じ。個人的にはスカッとの方がいい。
曇り空
グレーの曇り空の日が多いフィンランド。フィルムは、そんなフィンランドの気候を上手く表現していました。日本人としては、ムーミンやIKEAの様な鮮やかな色彩なイメージの方が強いですかね。
美術商という仕事に人生を賭けてきた主人公は、それはそれで羨ましい人生だと思います。娘さんは迷惑でしょうが、本人はこんなに情熱を入れるものがあるので、満たされた感じを受けました。私はサラリーを受け取って毎日あくせく働いているので、自分のお店で好きなものに囲まれて過ごしているのが、とても羨ましく思いました。
お宝探偵少年物語り
登場人物に緊迫感無しでダレダレの空気感。老人主役でスロー過ぎる画面。のんびりした北欧の街並み。ひなびた画商のアトリエ。昨日からら、この「のんびり感」が心地良いんですけど。コロナ疲れかねぇ…イヤ、大雨疲れかねぇ…何にしても、今の俺の精神状態にはピッタリの映画でした。
掘り出し物の名作で一山当てる。零細個人画廊の夢は実に細やかだけど。実の一人娘とは、ほぼ絶縁状態で一人寂しく暮らしている。
オットーの現代っ子っぽい行儀悪さと行動力がイケメンです。機転はきくし、甘えは無いし、大胆だし。我が社にスカウトしたくなる人材やん! 絵画を高値で売る為とは言え、目的意識を持った時の能力の高さが、かっこええですw
孤独な老人が途切れた縁を繋ぎ直し、10万ユーロの資産価値の絵画と共に孫に残したのは、祖父の仕事の意義。絵画の価値を「金額」にしてしまう事を残念に思うのは一般人の感覚。価値が分かるからこそ、目敏く掘り出し物を求める。
爺ちゃんと孫のチョットしたバディものは95分の小品。動く金額も庶民的で、大仰じゃ無い所が良かったです。
結構好き。
静かな秀作だと思います…
1年の大半が曇天というフィンランドの
気候を重ねながら、人生のラストを
迎えた一人の老美術商を描いています。
大好きだった絵画がいつしか
売買目的としての生業となり、
絵画を手に入れる為には手段さえ
選ばず、家庭さえ省みなかったオラヴィ。
美術が持つ本当の意味を忘れていた
オラヴィが、孫のオットーと共に、
最後に巡り合えたキリストが描かれた
絵画によって、大切な事に気づかされ、
無邪気な子供のよに
軽やかに天に召す場面には涙が溢れました。
映画や美術品は、奥深く、
感動を人に与え、心豊かに導き、
救ってくれるものだと思います。
そこに家族の思いを絡ませ、
何が人にとって大切なのかを、
静かに伝えてくれた秀作だと思います。
よく長い時を経て、高名な作者の
名作が、こんな所から?と
見つかるニュースなど見ると
不思議でたまりませんでしたが、
なるほど、もしかしてこういう数奇な
運命を辿ったからかな?と
教えてもらえた気がしました。
サイン欠如の理由ですが実は私たちも不思議に思ってました。
レーピンのキリスト、か。それがどれほどすごいのか正直わからないが、老人がそれまでの見識眼で惚れ込み、全てを賭けてもいいと思えるくらいの代物だということは伝わる。
不勉強ながら、ユーロの貨幣価値がぴんと来ないので後で調べた。1ユーロ=120.52円だった。つまり落札額1万ユーロは120万円。富豪に売りつけようとした希望売価12万ユーロは1440万円か。美術商なんて博打うちのようなものだな。
丁々発止のゲーム。それは、真っ当な商売なのか、詐欺なのかわからなくなってくる。最後老人は去り際、我が娘に「彼によろしく」と言う。孫を「彼」と呼ぶところには、突き放した感よりも一人の男として認めた気持ちを感じた。
そうそう、僕も疑問に思っていた「サイン欠如」の訳。その答えは終わり間近に明かされる。というか、推察される。その理由が腑に落ちた。信仰へのリスペクト、さもありなん。(もちろんここでは書きませんが)
ヨーロッパの映画はいいなあ。東欧もいいが、北欧ものの冷淡さの中にある人間臭さは、まるでその風土を反映しているように思えた。
これは心にじんわりと染み入る逸品
老いた美術商の人生最後の大勝負。ロシアの画家イリヤ・レーピンが描いたと思われる『キリスト』を借金してまで買おうとする。贋作かもしれないのに。
静かな作品なのに終始心がざわついた。
この爺さん、基本ダメ人間なんでどうしても自分と重ねてしまう。娘や孫には関心を持たず『絵いのち』で生きてきたのだろうが、最後に深く知ることに。遅すぎるんだよ。俺も。
そう、ある意味悲劇、ある意味ハッピーエンド。そんなもんだろう人生は。
導き
神様はお金はくれなかったけど、一番大事なものをくれた。って感じ?
主人公は芸術は理解出来るが、商売が下手だった。
その孫は主人公の不足を埋めてくれた。
華やかさはないが、出てくる美術作品が素晴らしく、それだけでも見ごたえあり。
孫が素直に祖父を信じることが幸せを感じる。
絵の価値
観る前は、さほど期待してなかったのだが、見終わって案外拾い物だと思った。内容も予定調和通りにいかなかったことが良かったんだと思う。上映時間も95分と丁度いい塩梅ですし。
やっぱり映画は面白いね。
アートマーケットの厳しい世界
フィンランド映画です。
しがない孤独な老美術商が人生最後に全てを賭け、一枚の名画を手に入れるために心血を注ぎ様々な苦難を味わいます。
その過程で今まで犠牲にしてきた娘との関係、さらには孫との親密な友情。
アートマーケットの現実、絵画商の厳しさとビジネス成功の紙一重さ。
オークションの駆け引きのシーンや絵画売却までの困難や苦難は見てて胸が苦しくなります。
老絵画商の孫や仲間たちとの何気ない知的な会話は絵に興味がある方には相当な面白さです。
殺人や派手などんでん返しが見どころではないですが、
サスペンスと推理劇としても隙のないストーリーは文句のつけようがないです。
ラストの親子の何気ない終わり方も心が震えました。
見る映画に迷うなら是非ご覧下さい。
レーピン
レーピンはロシアの画家で、ロシアだけではなく、東欧や北欧では人気のある画家なんだと思う。
でも、あの題材になったキリストが、12万ユーロとは、結構安いなと思った。
先般観た「アートのお値段」からしたら、ちょー安い部類で、ニューヨークのアート・ディーラーは目もくれないだろう。
でも、こっちの方がリアルな値段なんだろう。
改めて、モダンやコンテンパラリーアートはバブってるんだなと思うし、アート・ディーラーは万国共通でクズ感満載に描いてるなと感じた。
最近(とは云っても何年前)は、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたのではないかと言われる、「自画像」とか「糸巻きの聖母」が見つかって、科学的検証でも、その可能性は高くなっているが、レーピンを持ってくるところは、フィンランド映画ならではなんだろう。
ストーリー自体は、家族の物語。
内容は、心温まるお話しです。
人はそう簡単に変われないけど
主人公の美術商は目利きだけど商売があまりうまくない。娘の危機にも知らんぷりでわがまま勝手に生きてきた。
孫と接していくうちに親子のわだかまりは…とはなかなかうまくいかないし、人はそう簡単に変われない。
クソジジイだなと思いつつ、良い友達はいるし人に理解されなくても好きに生きて幸せだなぁと思ったり。
最後の最後まで自分らしさを貫いて生きられるか。でもやっぱり一人は淋しいなとか。
ハリウッド映画ならもっとアップダウンつけてドラマチックにするんだろうけど、ドキドキするオークションのシーン以外ドラマは淡々と進む。フィンランド人は日本人に似てるかも。
主人公がいつも買ってるシナモンロールがおいしそうだった。
kiitos!
主人公のような人間こそ一度見て欲しいな
本作品、人間ドラマですね。
ひとりの美術商を営む、自分の思うままに生きてきた老人とそれに関わる家族や周りの人間のお話。
孫との関わりから娘の本音など知るようになり自身の生き方や周りの関わり方に関して考える作品ですが、実際、主人公のような自分の赴くままに行きたい人間は、結婚したりしてはいけないかな・・・・・
もう少し主人公と孫との関わりの件が欲しかったな・・・・
本作品、オークションのシーンが有るのですが、そのシーンは大変に緊張感が有って良かったな・・・・
ま、私も含めて、この手の主人公のような人間っているよな、自分の信念の中に生きているんだけど、なかなか報われずに、何処かで「俺はこれで良かったのか」と思う瞬間・・・・
本作品、主人公のような人間こそ一度見て欲しいな・・・
不器用で真っ直ぐ過ぎる、しかし、決して悪人ではない、そんな純粋な人に・・・・
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