ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のレビュー・感想・評価
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絵の価値
観る前は、さほど期待してなかったのだが、見終わって案外拾い物だと思った。内容も予定調和通りにいかなかったことが良かったんだと思う。上映時間も95分と丁度いい塩梅ですし。
やっぱり映画は面白いね。
アートマーケットの厳しい世界
フィンランド映画です。
しがない孤独な老美術商が人生最後に全てを賭け、一枚の名画を手に入れるために心血を注ぎ様々な苦難を味わいます。
その過程で今まで犠牲にしてきた娘との関係、さらには孫との親密な友情。
アートマーケットの現実、絵画商の厳しさとビジネス成功の紙一重さ。
オークションの駆け引きのシーンや絵画売却までの困難や苦難は見てて胸が苦しくなります。
老絵画商の孫や仲間たちとの何気ない知的な会話は絵に興味がある方には相当な面白さです。
殺人や派手などんでん返しが見どころではないですが、
サスペンスと推理劇としても隙のないストーリーは文句のつけようがないです。
ラストの親子の何気ない終わり方も心が震えました。
見る映画に迷うなら是非ご覧下さい。
つまらない映画だが、面白い
邦題に偽りはないものの、映画の内容を表しているとは必ずしも言えない。
(なお、原題(仮称)「Tumma Kristus」を、Google翻訳で訳すと「Dark Christ」。原題「Tuntematon mestari」は、「Unknown master」で「未詳の巨匠」くらいだろうか。)
普通なら、「名画発見。証明資料の発見。そして落札!」というオークション成功物語で終わるはずで、それなら邦題の通りだ。
だが、本作品は、そこからが不必要に長い。金の工面など、大したことない話が続く。
「娘親子の“思わぬ”過去を知る。」と言えるような面白い話でもない。絵の“目利き”も、家族の気持ちには“目利き”ではなかっただけ。
“第一部 落札”と“第二部 娘親子”という、本来は無関係な話が一体化されている変なストーリーだ。
“間一髪の危機”が2回出てくるが、なぜか全く盛り上がらない(笑)。
わざとさりげなくしているのかもしれないが、それならば本筋には不要な脱線を差し挟む理由が分からない。
買ったは良いが、売る苦労。
しかし、盗品ではあるまいし、レーピンの「キリスト」なら、12万ユーロで買う者はいくらでもいるはず。
フィンランド国内に残す希望はないのだから(スウェーデンの金持ちに売り込んでいる)、ロシアの美術関係者に声をかければ済むことだ。
古い写真付き専門書もあるし、美術館のお墨付きさえ得ているにも係わらず、町のオークション会社に贋作呼ばわりされただけで、なぜ売れないのだろうか?
自分には全く分からなかった。
しかし本作品の一番の“つまらなさ”は、オラヴィ老人の動機である。
画商であっても、これは、と惚れた絵は手放し難いものだろう。
題材と緻密な筆致を見て、レーピン作だと確信する。
しかし、老人からは、この絵に対する愛情が伝わってこない。
単に、「ラスト・ディール」だから大博打を打ちたかった、というだけでは寂しい。
最終的に、孫の手に残ったのは売れなかったからであり、また孫との思い出の品物だからだろう。絵そのものに対する思い入れではない。
にもかかわらず、面白い点が3つあった。
一つは、オラヴィ老人と孫のオットーが、ネガとポジのように、正反対のキャラクターであること。
孫は、老人が持っていない、あるいは失ってしまったものを提供する。
行動力、はったりや嘘、ネット情報収集力。
老人は、“貧すれば鈍する”とばかりに、いつからか、ビジネス能力を失っていたのだ。
もう一つは、“署名がない”という謎に、しっかりと“オチ”を付けたことだ。
美術館は、「聖画なので、画家は署名をしなかったのです」という判断だ。
とはいえ、そもそも美術館が“レーピンの「キリスト」”と断定した根拠は、謎のままだが・・・。
また、勝手にいろいろと空想してみるのも楽しい。
大きな絵が切り取られた感じで、肖像画にしては変な構図だ。
レーピンにしては“薄味”な印象の絵だし、親密な視線をこちらに向ける男には“イコン”的な雰囲気はなく、キリスト像と考られなかった理由がうなずける。
レーピンに限らず、キリスト単独の肖像画は珍しいはずで、「きっとレーピンが売買を企図せず、自分のために描いた絵なのかもしれない」という、背景のストーリーまで考えてしまう。
もちろん、レーピンの真作ではないのだが・・・。
レーピン
レーピンはロシアの画家で、ロシアだけではなく、東欧や北欧では人気のある画家なんだと思う。
でも、あの題材になったキリストが、12万ユーロとは、結構安いなと思った。
先般観た「アートのお値段」からしたら、ちょー安い部類で、ニューヨークのアート・ディーラーは目もくれないだろう。
でも、こっちの方がリアルな値段なんだろう。
改めて、モダンやコンテンパラリーアートはバブってるんだなと思うし、アート・ディーラーは万国共通でクズ感満載に描いてるなと感じた。
最近(とは云っても何年前)は、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたのではないかと言われる、「自画像」とか「糸巻きの聖母」が見つかって、科学的検証でも、その可能性は高くなっているが、レーピンを持ってくるところは、フィンランド映画ならではなんだろう。
ストーリー自体は、家族の物語。
内容は、心温まるお話しです。
人はそう簡単に変われないけど
主人公の美術商は目利きだけど商売があまりうまくない。娘の危機にも知らんぷりでわがまま勝手に生きてきた。
孫と接していくうちに親子のわだかまりは…とはなかなかうまくいかないし、人はそう簡単に変われない。
クソジジイだなと思いつつ、良い友達はいるし人に理解されなくても好きに生きて幸せだなぁと思ったり。
最後の最後まで自分らしさを貫いて生きられるか。でもやっぱり一人は淋しいなとか。
ハリウッド映画ならもっとアップダウンつけてドラマチックにするんだろうけど、ドキドキするオークションのシーン以外ドラマは淡々と進む。フィンランド人は日本人に似てるかも。
主人公がいつも買ってるシナモンロールがおいしそうだった。
kiitos!
主人公のような人間こそ一度見て欲しいな
本作品、人間ドラマですね。
ひとりの美術商を営む、自分の思うままに生きてきた老人とそれに関わる家族や周りの人間のお話。
孫との関わりから娘の本音など知るようになり自身の生き方や周りの関わり方に関して考える作品ですが、実際、主人公のような自分の赴くままに行きたい人間は、結婚したりしてはいけないかな・・・・・
もう少し主人公と孫との関わりの件が欲しかったな・・・・
本作品、オークションのシーンが有るのですが、そのシーンは大変に緊張感が有って良かったな・・・・
ま、私も含めて、この手の主人公のような人間っているよな、自分の信念の中に生きているんだけど、なかなか報われずに、何処かで「俺はこれで良かったのか」と思う瞬間・・・・
本作品、主人公のような人間こそ一度見て欲しいな・・・
不器用で真っ直ぐ過ぎる、しかし、決して悪人ではない、そんな純粋な人に・・・・
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