「常に生死の境目で生きているような感覚」ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像 1055sdさんの映画レビュー(感想・評価)
常に生死の境目で生きているような感覚
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美術商という職業は、常に生死の境目で生きていることなのだと感じさせられた。
「これは価値がある」自分自身がそう思ったら、それを最後まで貫き通す信念がいる。そして自分の全てを投げ打っても構わないと言わんばかりに、絵に全身全霊を欠けられる。それほどまでにアートに魅せられている。美術商とはいわば絵の「狂人」なのだと思った。
オークションのシーンなどは特にハラハラさせられ、手に汗握っていた。オラヴィが名画と疑わないあの絵を落札してからは、作中に漂う不気味な気配と落ち着かない挿入曲…見ていて常に胸騒ぎがするような感覚に常に襲われた。
最終的に、美術館からの連絡により自分の美術商としての目利きが正しいと分かったこと、そして孫からの心からの感謝(賞賛)があったことが、彼にとっての救いになったのではないかと思え安心した。
最期に大きな取引に果敢に挑戦できたことは、彼の長い美術商としての人生の幕引きとしては十分及第だったのではないか。最後に絵画を飾り始めていたシーン?を見る限り、おそらくこれからも美術商としてやっていくつもりだったのかと思うと少し寂しいが…
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