「【”甘やかされて育った青年は、モンゴルの大地と、ノマドの情により男になった・・” 麿赤児のドアップは、モンゴルの雄大な風景に負けていません・・。】」ターコイズの空の下で NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”甘やかされて育った青年は、モンゴルの大地と、ノマドの情により男になった・・” 麿赤児のドアップは、モンゴルの雄大な風景に負けていません・・。】
ー 人は、如何に生きていたかが、40歳以上になると、顔に出る生き物である。劇中登場する、モンゴルのノマドの人達の精悍な顔付が、印象的である。ー
■感想
・資産家の祖父(麿赤児:大駱駝艦を立ち上げた頃の前衛舞踏の際の顔付よりは、柔和に・・なってません・・。)は、孫のタケシ(柳楽優弥)が幼き時に父を亡くした事を不憫に思い、贅沢三昧の生活を送らせてきた・・。
ー タケシが、複数の美女と、ベッドに横たわっているシーン・・。ー
・祖父は、第二次世界大戦中にモンゴルで捕虜生活を送った際に、現地の女性との間に子を設けていた。名は、ツェルマ。祖父は自分の先が長くない事を悟っていたのであろう。馬泥棒のモンゴル人、アムラ(朝青龍に似た不敵な面構えの男)と一緒にその娘を探すようにタケシに指示を出す。
ー この辺り、展開がやや粗いがスルー。余り気にならず。麿赤児の顔は気になる・・。ー
・二人はモンゴルに飛び・・。ー
ー ウランバートルの近代化した都市部の風景に驚く・・。途中では、アムラの幻想シーンなども織り込まれる・・。二人の小用を足すシーンの対比が面白い。ー
・タケシは、当初は観光気分だが、車は壊れるは、荷物は落とすは・・、で遊牧民のゲルに泊めて貰ったり、慣れない馬乳酒を飲んだり、シャーマンに遭い、占いの舞を観た後、進むべき道を指示されたり、遊牧民と焚火を囲んで踊ったり・・・、タケシの身体から”不浄なモノ”がドンドン大地に吸収されていくシーンの数々が、素晴らしい。
ー モンゴルの遊牧民は、客人を大切にする。ゲルに招かれたら、馬乳酒もドンドン飲まされる(アルコール度数は低いので、何杯でも呑める・・。)今作でも、同様の風景が映し出されている。ー
・旅を共にしていたアムラが馬泥棒として、警察官に連れて行かれ、独りになったタケシは草原の一夜<狼、コヨーテ?の襲撃・・>を何とか凌ぎ、愛想の無い遊牧民の女のゲルに招かれる。そして、彼女が子を産む現場を直に見る・・。
ー この辺りから、明らかにタケシの表情が、変わって来る・・。小用の仕方も変わって来る。”良くぞ、男に生まれけり・・”大自然を遠望しながらの小用って、気持ち良いのだよ・・。ー
<漸く会えた、祖父の娘。冒頭の、麿赤児のドアップの意図が、ここで判明する。青年が、モンゴルの遊牧民との様々な経験を経て、男として成長する姿を描いたロードムービー。好みの作品である。>