すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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希望のない世界
ヤクザの世界でイケイケで生きた人生
平凡な人生が嫌でヤクザな生き方を選んだ主人公だとは思うが、死ぬ事も出来ない。心根は優しく憎めない人であるから周りに人はいたんだろう。死んでしまったのか
死にたかったのか。何のために生きたいのか。
生きるとは、世の中とは
何なのか考えさせるものがあった。
役所広司さん渋いなぁ
人によって生まれた場所、育った環境によって
受け取り方、解決の仕方、全然異なってくるものですね。
刑務所から出て、母親を探すためにテレビ局に身分調という、自分の事件や、刑務所の中でも色々なことを書いてあるノートを送ります。
そこから小説家をしている太賀の元へ、身分調がわたり、太賀の撮影とともにいろんなことを話したりしました、そんなとき、街でカツアゲされてるおじさんを助けて不良2人をぶっ飛ばします。
そこに居合わせた太賀は役所広司の素性をみて、怖くなって逃げてしまいます。
刑務所から出たけど、結局最後頼る先は
前と同じヤクザの知り合い。
しっかりカタギになりたくてもなれずにいる。
ヤクザの親分、足なくてびっくりしました。
ソースにいる時にベットでソープ嬢とおしゃべりしてる役所広司さんの微笑み方とかがめちゃくちゃ渋くてかっこよかったです。
そしてやっぱり演技のうまさがえぐいです。
役所広司さんってすごいなぁってなります。
ちゃんと向き合って言葉をくれる女将がいてよかったですね。
役所広司さんは棒に振ることなく、逃げて戻ってきましたね。
前に見た【ヤクザと家族】って映画でも、ヤクザは結局ヤクザに戻ってしまうみたいのを見たことがありますが、これもまさしくそうなる構図が見える作品でした。
けど救ってくれる人や言葉、太賀さんとの出会い、母親を見つけることができたことによって、いろいろ役所広司さんは変わっていけてます。
母親に会ったら何を話したいかと聞かれて
お産の時の話を聞きたいと。
なぜ?って問われて、かあちゃんしか覚えとらんばいって。
その通りだなぁって思いました。
そしてお母さんと再会できた!と思ったら全然違うおばあさんで、残念すぎる。
2人がお風呂で背中を流すシーン。
役所広司さんの背中には無数の傷があって
どんな大変な世界だったことかと。
もう元にヤクザに戻らないでくださいって泣きながら太賀が言うシーンはジーンときました。
10代からずっとヤクザの世界に足を入れていた人が
大人になっておじさんになってから
カタギの世界のすばらしさに気づいていく。
就職が決まった時の嬉しそうな顔や
就職が決まって喜んでくれる仲間が出来て。
けどやはり変われず、スタッフのいじめをみて人を棒で殴ってしまいます、と思ったらそれは想像で
ちゃんと変わろうと頑張って頑張って耐えてました。
よく耐えれましたね。いつ怒り出すかヒヤヒヤしました。
いじめられてた障害のあるスタッフが
お花を嵐が来る前に切ったんだよ。って言った後に
役所広司さん、泣きましたよね。
ほんと3秒ほどの泣きシーンなのに
一瞬で涙出ます。
あの一瞬に色んな感情が入ってました。
元奥さんと電話した時、奥様もいい人だなぁが溢れてました。
やっと頑張って来れてたのに、亡くなってしまって、
かなしい、はぁーーってなりました。
けど役所広司さんはきっと変わることができたんです。
ヤクザではないこの世界が彼にとって
すばらしき世界になっていますように。
見てよかった作品でした。
やくしょこうじすごいね
見たい見たいと思ってやっと見れました
やくしょこうじの演技がすごい
やはり役者なんだな
最初は人当たり良さそうでちょっとのことでブチギレてしまうあたり
唖然とした
こんな人近くにいたら怖いなっていうのが見事の描かれてる 寂しがりやでぶっきらぼうで真っ直ぐで
演技もとても身近にいる人のように感じられる
感じられて感情移入してしまう
なかのたいがのでてるさくひんまちがいない
と
元テレ東の佐久間宣行が言っていた
確かに間違いなかった
最後色々上手くいきそうなとこで亡くなってしまうのは悲しすぎる
彼にとっての幸せとは何か。この世界で正直に生きることの険しさ。
この不条理だけど温かい社会で【普通】に生きようともがく姿が哀しく愛おしく。
家族や友達や恋人からの愛情よりも、ふとした他人との繋がりが特別に温かく感じる時ってあります。
シアター満席の中、この映画はただエンタメとして消費したくないなと感じながら観てました。
どんな事でもいいから自分の糧にしたい、彼の人生や彼に短いけれど愛をくれた人たちから、何かを学びとりたいと強く思いながら観ていました。
エンディング。
あぁ、やっぱりこの世界は‥‥ だったなと。
まっとうを掴み取ろうと必死だった彼にとっての幸せはこの世界に存在したのだろうか?
彼は果たして変わることができたのか。
デートしようと言ってくれた元奥さんのこと。
嵐から必死に守ったコスモスを分けてくれた彼のこと。
不条理な世の中で正直に生きるってなんだろう?
そんなことを考えながら、
あなたはどう思いましたか? と。
エンドクレジットでわたしに突きつけ問いかけるような、でも優しさを感じるあの時間と空間。
涙はとまらず目の血管がどうにかなるかと思うぐらいでした。
仲野太賀さん演じるTV番組制作の若者の物語もまた感慨深くて魅力的。太賀さんのお芝居が本当に素晴らしかったです。
西川美和監督作品をもっと観てみたい。
次の作品が待ち遠しいです。
普通になることの難しさ…
しかし、普通ってなんだ?苛めが行われてても、見て見ぬ振りをする、争いごとには巻き込まれぬようにする、助けない、この描き方は極端過ぎる気もするが、梶芽衣子が言っていた皆、いい加減に生きている、これが合ってるのかもしれない。十数年も服役していた元ヤクザにとって、身寄りもなく、資格もなく、働き先もない社会生活は過酷だろう。生活保護を糧に働く意思があっても、そうはさせない現実があり、再び悪の道に戻るのが精神的にも楽だろうし、生きる道、出所しても半分がまた戻ってしまうというのがよく分かる。しかし、ヤクザの世界も現代では法のもと、生きにくい世の中になっており、キムラ緑子は好演だった。主人公はキレやすく、罪を心の底から反省していない点もあり、共感はできないが、そこがリアリティある。映画では彼の更生を支える仲間たちがいて、恵まれているが、現実はそうではないだろう。ラストどう終わるのかと思っていたが、ようやく新たな人生のスタートを切ったかに見えたが死んでしまったのはとても残念で、やはり彼の住む世界ではなかったということなのか。色々考えさせられる映画だった。
色々な意味で心に染みる話だった
役所広司の演技がこの映画の素晴らしさを、引き出していたと思う。人生の半分以上を檻の中で暮らした生粋のヤクザの男。人生の最後は穏やかに暮らそうとムショを出てきた。でもとにかくキレる。突然キレて暴力に走る。目を覆いたくなるような男だ。それが、真剣に寄り添う人たちと触れ合って少しずつ変わるのだ。
支えようとしてくれる優しい人達のかける言葉を聞いていると、彼の方が真っ直ぐて善人のように聞こえてしまう。
そんな社会なのかと愕然とするけど、そういうところあるなと思って苦笑する。
そして最後。彼はコスモスに触れながら何を思っただろう。中野太賀の演技も良かったなぁ。
リアルにそこにある話
どこまでが実話なんだろう?
主人公の三上さんは、粗暴であるし、短絡的であった。
でも自分なりに真っ当に生きようとしていた。社会に交わろうとしていた。
何年も服役していた、少なくとも直近13年は服役していた人間には、今世間と交わろうなんて、ハードルが高すぎる話。
でも夢を持って出所し、三上さんなりに真っ当に生きようとしていた。
取りあえず失効していた、自動車の運転免許を取り直そうと奮闘するところなんかリアルだった。
ビックリするくらい下手だったけど。
何年も服役していた人間が、更正しようというのは、独りぼっちではまず無理。
三上さんの場合は性格上でも無理。
でも…現実的に、服役していた人で、三上さんのような性格の人は多い。
実話かと思うのは、この辺の細かい演出が良くできてる。
ただでさえこの世の中は無理なのに…この性格。
今の日本を知らない三上さんには…ハードルという例えが低すぎる話。
この世の中は基本的に事務的。
教科書どおりのものの考え、行動が出来ない人間とはまず目すら合わさない、合わしてはいけない。
目が合ったとしても口を聞いてはいけない。
万が一関わってしまったら、ウイルス感染と一緒。
その関わってしまった人間と目を合わしてはいけない。
この世の中はそういうルールで回ってる。
物凄く遠回しにそういう風に教育される。
実際映画見てて、自分が三上さんみたいな性格の人と関わって、三上さんの更正に付き合えるかと言えば…
残念ながら答えはノー…だろうな…
実際この映画の途中で三上さんは道を外しかける。
三上さんとって、とても居心地のいい世界。
普通なら帰ってこれない。
だけど、この映画は違った。
愛があった。
…誰かが…ほんの少し優しければ…誰かが三上さんの背負ってる荷物を少し持ってあげれば…誰かが…三上さんのような人に自分の持っている愛を…ほんの分け与えていれば…
そんな展開。
これ…実話じゃないよね?
実話だったら日本は捨てたもんじゃない。
とても美しい。
…が…残念ながらそうじゃない…だろうな…
そういう目で見てほしい映画。
…余談だけど…自分が泣きそうになった所がひとつ。
三上さんが道を外しかけて…その自分がとても居心地のいいはずの所で、三上さんが見つけた1台のトラック。
その所有者に三上さんが、後で少し運転させてくれないかと頼みこもうとしていたシーン。
自動車運転の練習を…しようとしていた。
更正への道が暗すぎる事を知って…心折れまくってたはずの三上さんが、更正への道を捨てきれてなかったあのシーン。
涙が出た。
泣ける映画でした。
最後の最後に主人公の三上がキレなくて良かった。キレて終わっていたら、何処かで観たことあるようなありきたりな話になっていました。最後は奥さんと娘に逢わせてあげたかったです。
綺麗なやくざ
素晴らしいストーリーで、主演の方の熱演にも感動してしまった。
しかし、実際にやくざとの距離が近い人はこの映画を見てどう思うだろう。
やくざを扱ったフィクション作品で一番リアリティがあるのは闇金ウシジマくんだとわたしは思う。
映画を真に受けて付き合わない方がいい。
気になったのが作家の男。いつの間に主人公に対して泣くほどの好意をもったのだろう。とってつけたような泣きのシーンでさめた。
音楽が全体的にいまいちだった。ラストシーンでタイトルの字幕がでるパターンはもうお腹いっぱいなので、いい加減にやめてほしい。
What a wonderful world ですよね
生きづらい世の中、不寛容で排他的な社会。
でも、ここに登場する人物たちは全員、他者を思いやる、適度に。
たとえば、生活保護窓口の井口。三上が書類を指し示しながら「不満がある場合は、知事に申し出ることができる」云々と迫ると、「まだ、上司にも報告していないのに、そんなことされたら、僕の立場はどうなるんですか」とやり返す。本当に困っている三上を救うより、自分を優先させる井口だけれど、三上に関わり続けやがて介護助手の仕事を紹介する。
三上に関わる人物は、全員が適度なのだ。適度に、他者を無視し、時には逃げ出し、でも、適度に他者を支える。そうした中、イノセントで過度な三上も、適度を学んで社会に適応していく。
やさしそうな振りをしながら、実際には、制度や空気で拒絶するクソみたいな日本。でもその中に、すばらしき世界は、確かにあるのだ。西川監督は、そこに光を見出そうとしている、ように思える。
繊細な表現にやどる説得力、西川監督の力量に感服、です。
タイトルなし(ネタバレ)
実話をもとにしている割には点数低め
人生やり直しこれからというときに死んでしまうという話だが、うーん、話としては想像できてしまった。
役所広司の見本市
三上を演じる役所広司が凄い。圧倒的だ。なんなんだこの人は。
暴力に明け暮れ、暴力を悪びれず生きてきた男が何故こんなにも愛おしいのか。時代に取り残されたヤクザが生き悩む姿に、何故こんなにも胸を打たれてしまうのか。何度も後退しながらも少しずつ前に進む彼の姿に、子どもの成長を見守るかのような期待と不安が入り混じる。手に汗を握る。
そして彼は嘘をつく。その姿を観て、歯を食いしばり、爪を立て拳を握った。弱者を見放す嘘と弱者を守る暴力。この世は一体どうなってしまったんだろう。皆が思うのではないだろうか、この世の中は「すばらしき世界」と言えるのかと。
英題の「UNDER THE OPEN SKY」はシャバとも読める。13年間の刑務所暮らしを終えて、三上は広い空の下で小さな一歩を踏み出した。それは十分にすばらしい世界なのではないか。せめてそう思いたいのだ。
それにしても圧巻なのは役所広司の死の演技。孤狼の血と言い、あの人はもしかして自由自在に魂を取り出せるのではないだろうか?恐ろしさを感じるほどの演技に感服。これぞ俳優。
かつてヤクザの扉を叩いた男が、希望の光と扉を開く
西川美和が、またやった!
役所広司が、またやった!
この2人の初タッグ! この2人のタッグでつまらない訳がない!
タイトルに掛けて言うなら、“すばらしき傑作”!
今年は近年稀に見るヤクザ映画の当たり年。
『ヤクザと家族』はヤクザの世界に入った男の一代記。
『孤狼の血 LEVEL2』は警察vsヤクザの直球。
本作は視点を変えて。
ノンフィクション小説を基に、殺人を犯した元ヤクザの男が社会復帰する様を描く。
三上正夫。
福岡で産まれ、幼い頃に芸者の母と生き別れ、少年の頃から早くも粗暴の面。
若い頃からヤクザの扉を叩き、以来その世界に。前科10犯。人生の大半はムショの中。
とある殺人事件の13年の刑期を終え、今度こそ気質になろうと決意するが…。
まずは、三上というキャラ像。
短気ですぐカッとなる。大声上げて怒鳴るモンスター的な面も。それ故トラブルもしばしば。
苦しめられている弱者を見過ごせない。実直過ぎる許せない。それ故トラブルもしばしば。
ムショで技能を学び、ミシンや手芸の才能はなかなかのもの。
こういうのを見ると、元極道もんであっても決して極悪人じゃないと感じる。
ちょっとユニークだったのは、出生地は違うが、芸者の母、ヤクザもん、放浪癖、短気、人間味がある…何処か寅さんに通じるものを感じた。
出所して早々、高血圧で倒れる。
仕事探しに苦労。免許の再取得にこれまた苦労。
かつてヤクザの世界では一匹狼として幅を利かせていたが、ひと度気質の社会に出れば…。
“すばらしき世界”どころか、“くるしき世界”。
三上が体験するこの社会。
くどくど言うまでもない。役所広司が名演。喜怒哀楽を体現。
出所した三上は社会復帰と共に、母親との再会を願う。
そんな三上の事を記した“身分帳”に興味を持ったTVプロデューサーの吉澤から三上を取材するよう半ば強制的に押し付けられたディレクターの津乃田。
その母親との再会探しの手伝いは口実で、感動ドキュメンタリー製作。
特に吉澤はTHE TVマン…いや、ウーマン。スクープ優先。
本来なら“理解者”である立場の津乃田。
しかし序盤は第三者/客観的な目線。
前科者の元ヤクザに対し、「罪の意識は無かったんですか?」と直球過ぎる質問。我々の代弁者かもしれない。
あるシーンで改めて思う三上への畏怖。
対立、言い争い…。
が、ある事がまた2人の親交を深め、津乃田も本当に三上の理解者となる。
活躍著しい仲野太賀が好助演。
一度社会のレールを外れた者が再び戻ろうと必死に努力する。
いい話ではあるが…
社会はそう優しくはない。…我々も。
三上は元ヤクザの上に前科10犯の殺人犯。
そりゃあ誰だって偏見の目で見てしまう。身分帳を見た津乃田の最初のリアクションが正直。
厳しい言い方かもしれないが、そう生きてきた自業自得。
しかし、身元引受人の弁護士先生が言っていた。社会が彼らに救いの手を差し伸べないと、救われず網の目から落ちた者たちは再び元居た場所に戻ってしまう。それもまた社会の無責任、不条理。
一時、三上は何をやってもダメな時があった。
むしゃくしゃむしゃくしゃ、虫の居所が悪く、今にも爆発しそう…。
そして彼はかつての“兄弟”の元へ。(白竜、僅かな出番だけどさすがの役所!)
こんな“くるしき世界”とは違う、やはり自分が生きてきた世界。
皆々が喜んで迎え入れてくれたが、実はこの組も苦境。
ヤクザが生きていくには辛すぎる今の時代。
兄弟にピンチが…。
助太刀に行こうとするが、奥さんに止められる。(キムラ緑子も出番僅かだけど、印象に残る)
そう。苦しいが、ここが踏ん張り所。
再びヤクザに戻るか、くるしき気質の世界で生きるか。
そして三上が選んだのは…。
ヤクザの殺人犯の更正話を美談にした偽善と思う人もいるだろう。
挫けるか否かは、本人の心の強さ弱さ。
周りのサポートもあって。
そんな姿と関係に、胸打つ。
オリジナル脚本もしくは自身の小説を映画化してきた西川美和にとって、初めて他人の小説を映画化し話題に。
徹底的に取材したという社会システム。リアルな人物&心理描写。一見シリアスな中にもユーモア…。
巧みな手腕はいつもながら天晴れなもので、本当に2時間があっという間だった。
監督が作品で一貫して描く、社会に適応出来ない者。疎外者。弾かれ者。
そんな彼らへの優しい眼差し。
…だが、ただの甘い話だけには終わらないのが現実的。
母親との再会はならず。が、失われた過去の思い出に触れる事に出来た。
紆余曲折あって、堅実に晴れて仕事を見つけた三上。
介護施設の助手。
生き甲斐を見出だし始めるが…、施設内で知能遅れのヘルパーへのいじめを目撃してしまう。
そのヘルパーと交流もあり、助けに行ってこそ三上。
が、ここでまた揉め事を起こしたら…。
どうしても“注意”だけが出来ないのが三上という男。
“逃げるが勝ち”という言葉があるが…、またまた苦しいが、ここが堪え所。
笑顔で語り掛けて来たそのヘルパー。
彼への三上の眼差しが、自分を重ねたのか何処か悲しい。
偏見、いじめ、肩身が狭く生きづらい。
かなしき世界。
くるしき世界。
しかし、サポート者、理解者、最初は誤解あっても分かり合えば応援してくれる人たちが必ず居る。弁護士先生の橋爪功とその奥さん・梶芽衣子、万引き疑いをきっかけに親しくなったスーパーの店長・六角精児、ケースワーカーの北村有起哉らとの交流。元奥さん・安田成美も見捨てておらず、終盤に掛けてきた電話が心温まる。
やさしき世界。
やっと辿り着いたスタート地点。その矢先…。
序盤からの伏線とは言え、悲しいラスト…。
が、
人生の大半をムショで過ごした男。しかも、元ヤクザの殺人犯。
人生の最期の僅か一時でも、社会の酸いも甘いも、己の不甲斐なさ、やればまだまだ出来る、周りの優しさに触れて、悲しいが、誰にも開かれもたらされる扉と、希望の光の空を見た。
すばらしき世界。
皆に優しい世界であってほしい
殺人の前科で出所したばかりの三上。
鑑賞前は、娑婆の世界を素晴らしいと表現したのかと想像してたのだが、西川監督やはり皮肉が効いてた。笑
はっとさせられた。介護施設でのいやーなあのシーン。誰もが一度は似たような場面に遭遇して三上のように処せざるをえなかったことがあるのではないだろうか。ああいった差別やからかいや偏見は娑婆の世界の方が醜悪なかたちで蔓延っている。
どっちの方が人間らしくて優しい世界なんだと問いただされるような重くて辛いシーンだった。
規格外のものたち、レールを逸脱するものたち、出る杭たちを認められない不寛容な社会構造を、私たちは変えていかなくてはと切に思った。
最近のヤクザ関連のドキュメンタリーなどをみていても、
ヤクザへの締め付けを極端に急激に厳しくしたことでの歪みが顕著だと感じる。
役立たずだと、育ちが悪いからと、親がいないからと、頭が悪いからと、様々な理由で排除されてきて、ヤクザの世界でしか生きられなかった彼らの更なる逃げ場は?ヤクザをやめろと言われてもその後のセカンドライフは?八方塞がりになってしまうのがやはり今の現状なのだと思う。
本作みたいに周囲の親切な人に恵まれてとんとん拍子に行くことはほぼないだろうなと素人目にもわかる。
ヤクザの世界の厳しさや恐ろしさはあまり描かれていなかったが、別の作品で十分表現されている。
三上が最期に観たものが、あの可愛らしい素敵な青年が丹念に育てた秋桜であることが、本当に救いだった。生きづらかっただろう世界を憎むことなく、生を全うした姿は悲しくも希望とあたたかさを残してくれたラストであった。
そして三上を囲む優しい人々。
結果、すばらしい世界なのかもしれない、悲観しきることはない、と最後には思えるふんわり優しいラスト。ただし落涙は必須。
社会派ドラマなんだけどコミカルなシーンも多く、重すぎない仕上がりはさすが西川監督。
役所広司の演技が素晴らしすぎて。三上の魅力も怖さもさみしさも憤りも、ここまで表現できるものかと。心震えました。
仲野大賀もよかった。
良い行いとは何か、何を幸せというか
いろいろと考えさせられた作品というのが一番の感想です。
正しいことをする者が罰せられることがあり、逆に悪い行いをする者が罰せられない場合もある。
そのような不条理な世界がテーマである。
この作品のエンドは好みが別れると思うが、私は好きです。
ネタバレになっちゃうと思いますが、
電波的な彼女というラノベの幸福ゲームという話に出てくる某人物と同じエンドを主人公は迎えます。
もがいて生きる
人は良いがカッとし易い元受刑者三上を演じた役所広司さん、組長の妻を演じたキムラ緑子さん。お二人のその役柄になりきった演技が秀逸。役所広司さんが元受刑者、キムラ緑子さんが組長の妻にしか見えませんでした👀
元テレビディレクターの津乃田を演じた仲野太賀さん。三上と本気で関わり、気にかける姿に引き込まれ、背中越しに三上に話しかけるシーン、ラストシーンで涙した。
他者の声に耳を傾け始めてからの三上の人懐っこい笑顔が印象的で、周囲の人々の真の優しさにも救われる作品でした。
映画館での鑑賞
タイトルなし
役所広司、いつにもましての熱演。
脇を固めるスーパー店長役の六角精児、ドキュメンタリーディレクター役の仲野太賀が素晴らしい。
生きにくい社会に直情を抑え込み溶け込もうとしたその時に、一面だけでは見えない物事の複雑さに直面する。
そしてこれからというときに逝ってしまう。
見応え十分。
この主人公に満ちていたのは「義侠心」。しばしば溢れだしては相手に襲いかかる、善くも悪くも熱き心の持ち主だったように感じます。
「ヤクザと家族」は観たのに
この作品は観てないなー、と
ふと思い立って鑑賞してきました。
この作品も多分「重い」のだろうと
予想してはいたのですが、その通り重かったです うん
そして
この作品と「ヤクザと-」では
重さの種類が違うように感じました。
たぶん
この作品では、一般社会に出てきた後の
社会復帰しようと奮闘する主人公を
「一般の社会側から」 描いていて
「ヤクザ社会の側から」 は描いていない
それがそう感じさせる一因なのかなと思いました。
で
この作品の主人公の三上さん
普通にしていれば普通の一般人です。 (に見える)
一見して「ヤクザな人」とは分かりません。
(服を脱げば彫り物は見えてしまいますが…)
そして、この三上さん
何かの拍子に 暴力スイッチがONになります。
そのときの切れ方は、まさにヤクザ… ブルブルガクガク
お近づきにはなりたくないなぁ、と正直に思います
けど
この作品を観てしばらく日数が過ぎ
このように思うに至りました。
三上さんが暴力を振るうのは
「弱い者イジメを見過ごせないため」
からだったのではないのかな …と。
(前科10犯の行為が全てそうなのかは分かりませんが…)
行動は凶悪
動機は純粋
基本的にそういう人間だったのではないでしょうか。
◇
最後の場面で
イジメを見て見ぬふりしてしまった主人公
高血圧が悪化したのか
自分の部屋で帰らぬ人となって終わります。
手に握りしめた花は
苛められていた青年から貰った花だったのでしょうか
イジメを見て見ぬふりした自分を
どれだけ責めた事だろう と
それを思うと、ただただ切なくなります。 合掌。
◇
単純に 「面白い」
といった類の作品ではありませんでしたが
「見逃さなくて良かった」
そう感じた作品です。
◇
三上という男
今の時代なら彼はいわゆる
「発達障害」 なのかもしれないなあ と思います。
我慢すること
協調すること
それが苦手 (というか、出来ない)男だったのかと。
克服しようと
必死に頑張っている姿が、脳裏から消えません。
もう一度 合掌
◇最後に
登場人物の中で一番共感できたのは
シナリオライターの津乃田クン (仲野太賀)。
三上(役所広司)が、男を助けようと
街のチンピラ二人を相手に喧嘩する場面。
義侠心から始まった(であろう)行動が
次第に狂気の色合いが深くなり
倒れた相手に鉄のハシゴを振り下ろす
何度も何度も …笑顔で
(この男はおかしい …!)
カメラでの撮影を忘れ
恐怖に駆られ全力疾走でその場から逃走
ものすごく共感…。
◇最後に その2
タイトルの意味をずっと考えているのですが
やはり 皮肉(逆説的表現)なのでしょうか…
その一点だけ 今一つ すっきりしません…
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
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