「無名というリアリティー」許された子どもたち 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
無名というリアリティー
初鑑賞
監督と脚本は『先生を流産させる会』の内藤瑛亮
脚本は他に山形哲生
あらすじ
悪ガキ少年グループ4人のリーダー格が河原に呼び出した少年の生意気な態度に腹を立てボーガンの矢を射抜いた
割り箸を手作りで尖らせた矢は少年の首に刺さってしまいやがて死んでしまった
非行行為の疑いで警察は取り調べで主犯格の自供に成功したものの事故の可能性は拭いきれず裁判では不処分が決定した
実際にあった数々の少年犯罪を題材にしているらしい
『先生を流産させる会』も実際にあった事件を元にしているが男子生徒を女子生徒に変更したことで一部から批判を浴びた
妊娠した先生があまりにもスーパーウーマンだったため非現実的に感じた
そういったいくつかしくじりがあってためか今回の徹底的なリアリティー追求がなされている
『先生を流産させる会』にも共通するが人それぞれに正義があり勧善懲悪ではなくスカッとしないところが良い
『先生を流産させる会』もそうだったが俳優陣がほぼ無名というかかなり知名度が低いのがまた良い
リアリティーに拍車をかけている
映画評論家のおすぎがかつて言っていたことってこういうことなんだろうか
ただ演出家にとってはこれは楽じゃない
演技力が高い有名俳優の方が楽なんだろう
北野武監督もたしかそんなことを言っていた記憶がある
いじめられっ子だったか
いじめっ子だったか
いずれでもなかったか
それによって感じ方は様々違うだろう
僕は市川絆星を全面的に擁護する気にはなれないがだからといって今回の作品に登場したいわゆるネット民(おそらく5ちゃんねらー)やYouTuberなどに共感することはできなかった
やっぱりああいう人たちは生理的に無理なんだろう
自分の中の正義が共感を決して許さなかった
ちなみに『先生を流産させる会』で妊娠したサワコ先生を演じた宮田亜紀が市川絆星の両親を家庭裁判所にパトカーで届ける際に助手席に座っていた婦警さんとして登場している
これは人間の暗部を抉った傑作
悪趣味だがおすすめです
かなりの刺激物なので覚悟の上でお願いします