「一番の悪はいったい…誰だ?」許された子どもたち ke_yoさんの映画レビュー(感想・評価)
一番の悪はいったい…誰だ?
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冒頭の血まみれシーン、小学生であんなになるほどのイジメって、一体何をされたんだろう。
その経験中抑圧した怒りを爆発させるようになって、あんな思春期男子になったのだろうか。
キラの生い立ちはさほど酷くなさそう。
母親は息子の心を育てようと努力しないが、愛情は歪んでいても注いでいる。
父親は何も深く考えてもいないし男親としての信念みたいなものはまるでないが、まぁあんなのはよくいるだろう。
キラが、あんな人間に育つにはあまりにもその要素が少なく、観ていて納得できない部分が、逆にとてもリアルだと感じた。
作中描かれ続ける世間の私的制裁。
いきすぎた正義感と思えなくもないが、単にお祭り騒ぎとして楽しんでいる者も、少なからずいるように思う。
人を殺したのに裁かれなかった「法治国家なはずなのに法律に許されてしまった子ども」だから、みんなで裁こう、コイツになら何をしてもいいのだ、ということを武器にして、自分達のストレスをぶつけているだけにも見える、集団狂気の様は現代社会の深い闇だ。
どれだけ追い込まれても息子を盲信する母親に、Motherで息子をいたぶり続けた母親が重なる。
共依存のような親子関係は、きっとまたいつか新たな犠牲者を生み出すのだろう。
そのときは私的制裁ではなく、きちんと法によって裁かれて欲しいものです。
彼を無理矢理不処分にした篠原という弁護士なのか、安易に不処分の結論を出した裁判官?なのか、自分の望む息子の姿を押し付けた母親なのか、殺したのに嘘をついたキラなのか。
一番の悪は、いったい誰なんだろう。
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