「本作には様々な角度からの胸糞があって、けどそのどれもが今を生きる僕...」許された子どもたち よしさんの映画レビュー(感想・評価)
本作には様々な角度からの胸糞があって、けどそのどれもが今を生きる僕...
本作には様々な角度からの胸糞があって、けどそのどれもが今を生きる僕たちに突きつけられているもの、時に幾分度合いが増していたとしても見覚えのある景色が広がっている。例えば被害者が泣き寝入りするしかないこともしばしば起こる法律、私生活の鬱憤を見ず知らずの人をインターネット上でこき下ろすことでしかストレス発散など自分を保てないネット民・ネット弁慶、誰もがイジメっ子になりえ又人殺しにもなりえる繰り返しの構図。人間性を奪い残酷にしてしまう様々なものを告発・揶揄といった明確な形というより問いかけてくる。粘着質な生活音に、現実に一旦ファンタジーを通過させるような非現実的DQNネーム、物に取り付けられたカメラはじめ自主映画っぽさもある尖った演出。何より参考文献の多さに感銘を受けた、私的経験のみならずそうした勤勉さが本作の繊細かつ曖昧な現実にリアリティーをもたらしているのかと感じた。キラ役上村侑は演技は多分まだまだこれから磨かれていくのだろうけど、若かりし頃の柳楽優弥を彷彿とさせる顔つき目つきで、(演出の良さもあるだろうけど)独特のスクリーン映えする存在感とポテンシャルを感じた。
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