「ストーリー構成の超絶(ややこしい)技巧」ドロステのはてで僕ら かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリー構成の超絶(ややこしい)技巧
山口淳太監督、ヨーロッパ企画のオリジナル短編『ハウリング』のリブート作品。
【ストーリー】
カフェ店長のカトウは、客の引けた店を店員のメグミにまかせ、店舗二階の自室でギターを弾こうとピックをさがす。
すると据えおきのモニターから、自分自身が語りかけてくる。
「よう。俺、2分後のお前」
なんと店舗のモニターと部屋のモニターは、2分の時間差でつながっていたのだ。
永遠の自己言及ドロステ効果(フラクタル構造的なやつ)をその名に冠した、ヨーロッパ企画らしい、舞台演劇のようなつくりの日常SF。
キャラクターもドラマも軽いながら、展開はめちゃくちゃよく練られていて、これは凄いなあと思いました。
考えただけでも面倒なこんな長撮り演技にたえうるキャスティングは、劇団ならではの強み。
画面のあっちとこっちの会話タイミングとか、本当どうやって撮ったんだろうと思うややこしさ。
最後はきっちり伏線全部片付ける巧さも、演劇ならではですね。
あ、個人的な評価ですが、ほとんどの国内の実写映画よりも、演劇の方がシナリオ巧いと思ってます。個人の感想なので、反論は絶賛受けつけます。
ただ、画面づくりに関しては、もう少し高級感があったほうがいいかなあ。
全体的に、テレビのスペシャルドラマよりも安っぽいので。
上映時間も70分とほどよく短めで、サッとなにか見たい時なんかにぜひぜひ。
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