「アニメという特性を活かしてもっとできることがあったのでは?」アダムス・ファミリー バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメという特性を活かしてもっとできることがあったのでは?
2010年に『ミニオンズ』『グリンチ』などで知られるイルミネーションが映画化権を取得し、その後ティム・バートンによって『ぼくの名前はズッキーニ』『フランケンウィニー』のようなストップモーション・アニメとして製作される予定であったが、企画が中止になっていたものがMGMにわたり、今回の映画化に至った。
モーティシアの声優としても参加しているシャーリーズ・セロンの製作会社、デンバー・アンド・デリラ・プロダクションズも製作として参加している。
予告で「初めてのアニメ化」といっているが、これは間違い。長編としては初めてだが、無名時代のジョディ・フォスターが声優として参加していたテレビアニメが1973年に製作されている。
今回は1930年代の一コマ漫画やその後シリーズ化された原作の絵のテイストそのままに映像化しており、ファミリーの他にもコミックやアニメシリーズでお馴染みのサブキャラクター達も多数登場する。
ちなみにスヌープドッグが声優を務めるイットという、メガネをかけた髪の毛のキャラクターはテレビシリーズにも登場していたキャラクターである。
アニメという特性を存分に活かして、アニメにしかできない演出で90年代の実写版の頃と比べれば、表現の幅は圧倒的に広くなっているはずなのに、控え目な内容となっている。
舞台設定が現在にされ、ストーリーも現代風にアップデートされているのだが、物語自体が現代であることに意味があまりないだけに、勿体ない部分の多い作品である。
モンスター一家と人間社会の対立の末に、理解し合うという王道のストーリーから抜け出せていないし、設定だけのおもしろさで押したとしても、近年では『モンスター・ホテル』『プチバンピ』『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』『ダーク・シャドウ』などホラーキャラクターのコメディも沢山製作されていて、目新しさというのはあまりない。
それらの作品のルーツとしては『アダムス・ファミリー』に行きつくのだが、本家が出遅れてしまったのが痛いところだ。
すでに続編が2021年公開予定とされているが、続編ではもう少し大暴れしてもらいたいものだ。