「正義と正義の間に揉まれる少年のお話」羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来 トビマルさんの映画レビュー(感想・評価)
正義と正義の間に揉まれる少年のお話
重度のショタコンである私が、花澤香菜さんの初(?)少年役と聞いて観ました。
森に住んでいた黒猫の妖精である少年「シャオヘイ」は、ある日人間の開拓により住処を追われます。
それから街の路地裏で細々と暮らしていたところを同じ妖精のお兄さん「フーシー」に拾われ、
その仲間たちとも仲良くなるのですが、翌朝フーシー達の住処に人間である「ムゲン」が現れます。
明らかにお友達という感じではないムゲンはフーシーたちに単身襲いかかり、
驚異の身体能力で彼らを追い詰めます、限界を悟ったフーシーは仲間を連れて別の場所に移動して逃げます。
しかしシャオヘイだけが逃げ遅れてムゲンに捕まってしまいます、ムゲンはシャオヘイに「館」へ一緒に来るよう迫ります。
当然フーシーを襲った人間であるムゲンをシャオヘイが許すはずもなく、憎しみの眼差しで何度も逃亡を図ります。
その都度捕まりながらも一緒に旅を続けていくうちに、段々とムゲンに気を許していくシャオヘイ、
そして舞台は森→海→街へ、ある時シャオヘイはムゲンとともに地下鉄に乗っているところを謎の男二人組に襲われます、なんとかこの場を押し返しその場にいた(あれだけ嫌いだった)人間の女の子からお礼を言われ動揺するシャオヘイ、しかしその時二人の前にフーシー一味が現れ瞬く間にムゲンからシャオヘイを引き裂くように連れて行ってしまいます。
シャオヘイを館に連れて行くムゲン、執拗にシャオヘイを仲間に入れたがるフーシー、
この2人の「正義」に挟まれ悩むシャオヘイは…、
というのが前半のあらすじです。
最初の30分はほのぼのとした感じの中国アニメで、正直眠くもありました。
しかしシャオヘイがフーシーの過激なやり方に疑問を抱き始めた時から物語が一気に動き出し、
アクションシーンも増えてきて、その圧倒的な作画(滑らかな動き&奥行きのある背景やカメラワーク)に随時引き込まれてしまいました。
王道な少年アニメに中国らしいカンフーアクションや妖術を混ぜたような、後半ゴリゴリのバトルアニメでした。
そして、ストーリーのキーは「正義という価値観の逆転」です、
前述の通りシャオヘイをフーシーとムゲンが取り合い戦うため、その都度仲間の変わるシャオヘイの心情を察するとかなり複雑な気分になります。
妖精と共存しつつ人間の味方をするムゲンの正義、
自然界と妖精の存在を重んじて過激に人間を攻撃するフーシーの正義。
2人の「正しい部分」をよく知っているシャオヘイは最後どちらにつくのでしょうか?