「リメイク・ヤマトの良さを凝縮」「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択 unicornさんの映画レビュー(感想・評価)
リメイク・ヤマトの良さを凝縮
旧作からのファンで、2199はもちろん、2202も含めたリメイク版の肯定派でもあります。
2199は、特に旧第一作目へのリスペクトに基づくオマージュに溢れた、王道のリメイク作だと思います。大枠としてのコンセプトとストーリーを踏襲し、「名場面」を成立させるために、設定を練り直し矛盾を解消するという、まさに痒いところに手が届く作りでした。反面、新たな設定として加えられた多くのヤマトクルーのキャラクターやガミラス側の種族ジレルなど、不必要とまでは言いませんが、その為に生じた弊害(ヤマトクルーが増えた為に群像劇となり、主人公格の古代進のキャラ付け及びドラマが薄まった。またジレルによる精神感応波攻撃は、過去の記憶と幻覚との境界が不明確な為、そのエピソードを通した古代進や森雪の掘り下げに失敗している等)もあって、旧作の良さをアップデートしたところとリメイク版の新要素とのバランスの悪い部分がありました。
一方2202は、「さらば」のリメイクと謳いながら、結果的に「ヤマト2」のリメイクとなった(というか、古代進と森雪、デスラーを生存させるというオーダーがあった以上、そうならざるを得なかったと思います)為、賛否が分かれました。私は個人的に「さらば」より「ヤマト2」が好きだったので、2202は抵抗無く受け入れられましたし、むしろ「ヤマト2」ベースのリメイクと考えると、不足していたガトランティス側の設定やキャラクターの掘り下げ、ドラマが足され、デスラーの2199における微妙だった人物像の再設定も行われて、結構満足度は高かったです。
総じてリメイク版は、旧作の弱点であった設定の弱さとそれによって生じるストーリーの矛盾を大幅に解消したところが良さだと思いますので、今作は2199のプレヒストリーの公開も含めて、リメイク版の良さが凝縮された作りになっていて、とても素晴らしいと思いました。
勿論尺の関係で、古代進と真田以外のキャラクター描写や細かいストーリーは大幅にカットされていますが、それでもフェイクドキュメンタリーという手法のまとめ方は、十分これ一本でエンタメとして成立させているので、映画としても面白いと感じられました。