劇場公開日 2020年1月17日

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「これを観たら人間不信になってしまいそう…。」私の知らないわたしの素顔 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これを観たら人間不信になってしまいそう…。

2019年12月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

怖い

恋は盲目…。
恋をすると周りが見えなくなると言うけれど、これはまさにそんな視野の狭い世界で起こったサスペンス。

正直な話、主人公の女性に共感する気持ちが1ミリも湧いてこなかったけど…。

もし、彼女のような境遇が起こったら、自身のメンタルは死んじゃう気がする…。
だから、同じ女性として共感できる部分が微かにあったのかもしれないけど。
諸手を挙げて拍手したくなるような気持ちにはなれませんでした。
ごめんなさい
(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

なにせ、ここに出てくる人全員が加害者だから許せなかった…。
みんな自分のことを棚に上げて、自分の保身のためだけに行動したり助言したりする姿が、観ていて腹立たしかった。

相手のことを思いやる気持ちが全然無いから、かわいそうと思う気持ち以上に、自業自得だなと思う気持ちが強くなってしまって、ため息ばかりが私を包んでいる感じで残念…。

でも、ラストの衝撃は『ゴーン・ガール』を再来とさせるものがありました。
男と女の愛憎が生んだ現実に打ちのめされた結末…。
フランス人らしさが滲み出ているような、でもフランス人でもここまで酷いことはしないのではないかと言いたくなる…。
そんな、複雑な心境ばかりが胸に残る、ゾワゾワしたラストでした。

主人公の女性を演じたビノシュさんを私は知らなかったのですが…。
彼女はこれまでどんな役も、その役が彼女に乗り移ったかのように完璧に演じてしまう役者さんとのこと。
そんな天才的な女優が演じたからこそ、その役は信憑性が高まったのだと思います。

そこらの大根役者が演じたら、すごくチープな世界に仕上がったかもしれませんと、今日のトークイベントでも映画評論家の方が言っていました。

SNSの罠を描いた今の時代を生々しく描いた映画。
ちょっとした見栄や嘘で自分を着飾りすぎると、後でとんでもないしっぺ返しがあるというのを教えられているかのようでした。

最後の最後に、スマホを片手に電話をしている彼女の姿が、この話はこれで終わりじゃないと言っているかのよう…。
ラストの解釈は様々とのことで、観る人によって委ねらるようですが、私は新たなる事件の幕開けとしか思えない…。
これは悲劇の始まりではないかと思いました。

是非他の人の意見も聞いてみたい所です。

ガーコ