「中国の混沌と時代の迷宮に放り込まれる、待った甲斐があったスリリングな作品」シャドウプレイ 完全版 たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)
中国の混沌と時代の迷宮に放り込まれる、待った甲斐があったスリリングな作品
新生活に引越しもあり、2ヶ月近くも映画館から遠ざかっていた…。ようやく観れるとなったこの日、観たのは3年前から焦がれていてた作品。待った甲斐が有りましたよホント。凄い面白かった。
映画として感じる純粋な面白さはもちろん、中国の反映に差し込む光では到底分からない影をライト片手に絞っていく感覚がなんともそそる。愛であり、あるいは地獄であり、それを形容するには到底言葉が足りない。ただ、これもまた中国の一部がベースであり、事実の一片と受け取って良いはずだ。
この作品が突出しているのは、時代や背景が動く時、大きな音が鳴るような感覚がする所だ。7人の人生にはそれぞれモデルとなる事件が存在しており、その点を結ぶ関係はオリジナルとしている。勢いを感じさせる時代には華を、分断の中進む序盤の事件には不穏を、愛には不可侵な時を、それぞれ描いてゆく。ただ、それもまた時代が生んだ翻弄に近いのかもしれない。時を刻むようにニュースが入っているのが印象的だった。
主演はジンポーランさん。カッコよく、野蛮な感じも様になっている。正しさが強大な権力の元で何も出来ない感覚が、また別の正義感を生み出している。そして何より、マースーチュンの可愛さたるや。ショートヘアに心を躍らせたかと思えば、油断出来ない存在感も。総じて良い。
中国では検閲が何度もかかったという本作。映画の中に希望と自由を真正面から描きつつ、フィクションとしての肉付けが本当に素晴らしい。久々の映画、包まれる余韻。そうだ、それだと感じさせてくれた。
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