「自然が眺める人間の営み」春江水暖 しゅんこうすいだん t2law0131さんの映画レビュー(感想・評価)
自然が眺める人間の営み
杭州上流の歴史ある地域。三国志の孫権が都を拓いたという富春江の両岸に、急峻な山に迫られながらある街。古くは水彩画の題材にされる風光明媚な土地も、再開発で高層ビルが立ち並ぶ近代都市へ脱皮しようとしている。そんな土地に、伝来の風習と共に住む大家族を静かに眺める物語。
この作品の視点が素晴らしいのは、川や山の主観で描かれるところ。孫娘が恋に目覚めつつ彼氏と川沿いを歩く二人を、川の側から延々ワンカットで表現していく。あたかも、永久の人間の営みを何百世代も、川はこのように暖かく穏やかに見つめていたんだ、というように。クライマックスの、山の主観(見届けている)的な長いカットもそうだ。この変わらぬ自然へのナチュラルな畏怖は、穿って見れば現体制への、静かなる批判も隠されているとも思える。
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