劇場公開日 2020年2月21日

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「切なくも哀しい秘めた思いに感動」ダンサー そして私たちは踊った まるさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0切なくも哀しい秘めた思いに感動

2020年3月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

 とても緊張感のある物語で、最後までドキドキでした。主役の青年は写真よりも男らしく、彼と愛しあう彼は写真よりも若々しい。ダンサーならでは鍛えられた体躯といい、超絶技巧のダンスといい、激しく愛しあう場面といい、彼らの可愛くも危険な純愛模様に何度も惹き付けられました。

 年上に見えるほうの彼の最後の選択に男同士で生きていく現実の厳しさからすると私は安堵感を覚えたのですが、それは決してゲイ否定ではなく、二人の行く末を見守りたいからであり、それぐらい二人の気持ちに共感させられましたし、とても切なかったです。

 どうしょうもなく乱暴な兄が弟の告白を聞いて、思わず抱き締める場面は持って帰りたいほどの名場面。お前はこのダンスに向いていないと激しく叱責する舞踏団長のいい分も、華奢な彼にはこのダンスが求める方向に本当に向かないからであり、一見すると彼の周囲は彼には残酷なようで、実は彼は周囲の色々な人から愛されているわけであり、ここがこの映画の深さであり、秀逸なところだと思う。

 ゲイでなく、ホモとした字幕も閉鎖的社会を描く本編には誠に適切。久しぶりに再会した彼らが気持ちを抑えて安易にヤらないところも切なくて悲しくて可哀想で現実感があって良かったです。大切な一篇になりました。

まる